
皆さま、いかがお過ごしでしょうか?秋に入り、肌寒くなりましたが、晴れた日は乾燥して、過ごしやすい季節となりました。横浜では紅葉が徐々に深まってきております(写真)。これから季節が冬に変わります。日本を含め世界の天候が気になりますね。
SINTEX-Fの季節予測によると、今年の12月から来年の2月は、世界の多くの地域で気温が平年より高くなりますが、南米北部やインドの一部の地域では気温が平年より低くなる見込みです。
また、アメリカ南東部、中部熱帯太平洋の島嶼国、東アフリカ、インドネシアでは、雨が平年より少なくなる見込みです。一方で、西部熱帯太平洋の島嶼国では、雨が平年より多くなる見込みです。
原因の1つとして、海水温の変動が挙げられます。太平洋の熱帯域では、中央部で海水温が平年より低く、西部で高くなるラニーニャ現象、または東部と西部で高くなるラニーニャもどき現象が成熟する見込みです。また、インド洋の熱帯域は、海水温が平年並みとなる見込みです。
今年の12月から来年の2月までの気温と降水量は?

今年の12月から来年の2月までに予測される世界の気温を見てみましょう。SINTEX-Fの予測によると、世界の多くの地域で、気温が平年より高くなる見込みです(図1)。特に、アメリカ、メキシコ北部、アルゼンチン南部、ニュージーランド、西部熱帯太平洋の島嶼国、東アフリカ、オマーン、ヨーロッパの多くの地域、ロシアやモンゴル、中国の一部の地域、ハワイでは、予測されるシグナルがノイズより大きく(図1の黒点)、暖かくなりそうです。一方で、南米北部やインドの一部の地域では、気温が平年より低くなる見込みです。

次に、今年の12月から来年の2月までに予測される世界の降水量を見てみましょう。SINTEX-Fの予測によると、アメリカ南東部、中部熱帯太平洋の島嶼国、東アフリカ、インドネシアでは、予測されるシグナルがノイズより大きく(図2の黒点)、雨が平年より少なくなる見込みです(図2)。一方、西部熱帯太平洋の島嶼国では、雨が平年より多い予測となっています。
また、日本は多くの地域で気温が平年より高く、西日本の一部の地域で雨が少なくなる見込みです。ただし、中高緯度の予測精度には限界がありますので、今後の情報に十分に注意されてください。
今年の12月から来年の2月までの海面水温は?

日々の天気と異なり、季節を決める気候の変動には海水温が大きく関わっています(参照:季節予測とは?)。特に、熱帯は他の海域に比べて海面水温が高く、わずかな水温の変動が世界の気候に影響をもたらします。
SINTEX-Fの予測によると、今年の12月から来年の2月まで太平洋の熱帯域は、中央部で海水温が平年より低く、西部で高くなるラニーニャ現象、または東部と西部で高くなるラニーニャもどき現象が成熟する見込みです(図3)。一方、インド洋の熱帯域は、海水温が平年並みとなる見込みです。

それでは、これらの海水温の変動が今後どのように発達、減衰していくのでしょうか?そこで、海水温の変動が最もよく現れる海域で平均した海水温の平年差を見てみましょう。熱帯太平洋のエルニーニョ指数およびエルニーニョもどき指数を見ると(図4上中段)、ラニーニャ現象とラニーニャもどき現象は11月にピークに達しますが、その後、徐々に減衰して、冬の後半には平年並みに戻る見込みです。ただし、予測値(24個のカラー線)の振幅にばらつきが見られるため、今後の情報に注意されてください。こうした傾向は、他の一部の研究機関の予測結果でも見られています。
一方、インド洋の海水温の変動ですが、インド洋ダイポール指数を見ると(図4下段)、11月に負のインド洋ダイポール現象がピークに達しますが、その後、減衰して、冬には平年並みに戻る見込みです。ただし、予測値(24個のカラー線)の振幅にばらつきが見られるため、今後の情報に注意されてください。こうした傾向は、他の一部の研究機関の予測結果でも見られています。
日本を含む世界の気候には、太平洋に発生するエルニーニョ・ラニーニャ現象だけでなく、エルニーニョ・ラニーニャもどき現象やインド洋など他の海域の水温の変動も影響を及ぼすことがわかっています。海洋起源の気候変動現象がこれからどのように変動し、世界の気候にどのような影響を与えるか、今後注意してみていきたいと思います。