2019年5月号:今年の夏は?

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写真:新緑と鮮やかなザクロの花

初夏のような陽気が続いていますね。横浜研究所では新緑がとても美しく、ザクロが鮮やかにオレンジ色の花を咲かせています(写真)。もうすぐ夏ですね。これからの季節、日本を含む世界の天候が気になります。

SINTEX-Fの季節予測によると、今年の6月から8月は、世界の多くの地域で気温が平年より高くなる見込みです。一方で、カナダ北部やアルゼンチン、ロシア中央部など一部の地域では気温が平年より低くなりそうです。

また、アメリカ南東部や南米北部、西アフリカ熱帯域、東南アジア、フィリピンなどでは雨が平年より多く、メキシコや南米南部、インド西部、中国東部、ロシア東部、オーストラリア、インドネシアなどでは、雨が少なくなる見込みです。

原因の1つとして、熱帯域の気候変動現象の発達が挙げられます。太平洋では海面水温が平年に比べてわずかに高い状態が続く見込みですが、インド洋では、東部で海面水温が平年より低く、西部で水温が高くなる、正のインド洋ダイポール現象が発達する見込みです。これらの影響を受けて、インドネシアやオーストラリアでは雨が平年より少なく、気温が平年より高くなる恐れがあります。

今年の6月から8月までの気温と降水量は?

図1 2019年6月から8月までに予測される地上気温の平年差(ºC)。 予測開始日は5月1日。

今年の6月から8月までに予測される世界の気温を見てみましょう。SINTEX-Fの予測によると、世界の多くの地域において、気温が平年より高くなる見込みです。一方で、カナダ北部やアルゼンチン、ロシア中央部など一部の地域では、気温が平年より低くなる見込みです(図1)。

図2 2019年6月から8月までに予測される降水量の平年差(mm/日)。予測開始日は5月1日。

次に、今年の6月から8月までに予測される世界の降水量を見てみましょう。 SINTEX-Fの予測によると、アメリカ南東部や南米北部、西アフリカ熱帯域、東南アジア、フィリピンなどでは、雨が平年より多くなる見込みです(図2)。一方で、メキシコや南米南部、インド西部、中国東部、ロシア東部、オーストラリア、インドネシアなどでは、雨が平年より少ない予測となっています。

また、日本の夏は気温が平年より高く、雨が多くなりそうです。ただし、中高緯度の予測精度には限界がありますので、今後の予測情報に注意してください。

今年の6月から8月までの海面水温は?

図3 2019年6月から8月までに予測される海面水温の平年差(ºC)。予測開始日は5月1日。

日々の天気と異なり、季節を決める気候の変動には海面水温が大きく関わっています(参照:季節予測とは?)。特に、熱帯は他の海域に比べて海面水温が高く、わずかな海面水温の変動が世界の気候に影響をもたらします。

SINTEX-Fの予測によると、今年の6月から8月まで太平洋の熱帯域は、海面水温が平年に比べてわずかに高い状態が続く見込みです(図3)。一方、インド洋の熱帯域は、東部で海面水温が平年より低く、西部で水温が高くなる、正のインド洋ダイポール現象が発達する見込みです。

図4 2019年5月以降に予測される、エルニーニョ指数とインド洋ダイポール指数(ºC)。予測開始日は5月1日。青線が観測値、灰線が9つの異なる初期条件で計算した予測値、赤線が9つのグレーの予測値の平均値。

それでは、これら熱帯域の気候変動現象が今後どのように発達、衰退していくのでしょうか?そこで、海面水温の変動が最もよく現れる海域で平均した海面水温の平年差を見てみましょう。熱帯太平洋のエルニーニョ指数を見ると(図4上段)、エルニーニョの発生の基準となる0.5度を下回り、熱帯太平洋の海面水温は徐々に平年並みの状態に戻る予測となっています。一方、インド洋の気候変動現象ですが、インド洋ダイポール現象の指数を見ると(図4下段)、夏から秋にかけて、正のインド洋ダイポール現象が発達していく予測となっています。正のインド洋ダイポール現象の発達は、他の研究機関の予測結果でも見られています。

日本を含む世界の気候には、太平洋に発生するエルニーニョ現象やラニーニャ現象だけでなく、インド洋に発生する気候変動現象なども大きく影響を及ぼすことが分かっています。海洋起源の気候変動現象がこれからどのように変動し、世界の気候にどのような影響を与えるか、今後注意してみていきましょう。

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