2026年5月号:今年の夏の天候は?

写真:JAMSTEC横須賀本部で行われた、一般公開のブース(Copyright: JAMSTEC/APL)

皆さま、いかがお過ごしでしょうか?5月16日にJAMSTEC横須賀本部で一般公開が行われ、私たちの予測研究に関する活動について、展示を行いました(写真)。今年は晴天に恵まれ、沢山の方にお越しいただき、心から感謝申し上げます。これから季節が夏に変わりますが、日本を含め世界の天候が気になりますね。

SINTEX-Fの季節予測によると、今年の6月から8月は、世界の多くの地域で気温が平年より高くなる見込みです。

また、カリブ海、ブラジル北部、オーストラリア東部、東アフリカの一部、イエメン、ネパール、インドの中部、中国の一部、マレーシア、インドネシア、熱帯太平洋の南部の島嶼国では、雨が平年より少なくなる見込みです。一方で、東南アジアの一部、熱帯太平洋の西部と北部の島嶼国では、雨が平年より多くなる見込みです。

今年の6月から8月までの気温と降水量は?

図1 2026年6月から8月までに予測される地上気温の平年差(ºC)。予測開始日は5月1日。黒点はシグナル(24個の異なる条件で予測した実験の平均値)がノイズ(24個の異なる条件で予測した実験の平均値からのずれ)より大きい所(ノイズの標準偏差の0.75倍以上)を表す。

今年の6月から8月までに予測される世界の気温を見てみましょう。SINTEX-Fの予測によると、世界の多くの地域で、気温が平年より高くなる見込みです(図1)。特に、カナダ西部、グリーンランド、アメリカ西部、メキシコ、中央アメリカ、アルゼンチンとチリ南部を除く南米の多くの地域、ニュージーランド、オーストラリア西部と南部、アフリカ、中東、ヨーロッパ南部、トルコ、インドネシア、パプアニューギニア、西部熱帯太平洋の島嶼国、東南アジアの一部、インド、モンゴル、中国の北部、東アジアの多くの地域、ハワイでは、予測されるシグナルがノイズより大きく(図1の黒点)、暖かくなりそうです。

図2:2026年6月から8月までに予測される降水量の平年差(mm/日)。予測開始日は5月1日。 黒点はシグナル(24個の異なる条件で予測した実験の平均値)がノイズ(24個の異なる条件で予測した実験の平均値からのずれ)より大きい所(ノイズの標準偏差の0.75倍以上)を表す。

次に、今年の6月から8月までに予測される世界の降水量を見てみましょう。SINTEX-Fの予測によると、カリブ海、ブラジル北部、オーストラリア東部、東アフリカの一部、イエメン、ネパール、インドの中部、中国の一部、マレーシア、インドネシア、熱帯太平洋の南部の島嶼国では、予測されるシグナルがノイズより大きく(図2の黒点)、雨が平年より少なくなる見込みです(図2)。一方、東南アジアの一部、熱帯太平洋の西部と北部の島嶼国では、雨が平年より多い予測となっています。

また、日本は多くの地域で気温が平年より高くなる見込みです。ただし、中高緯度の予測精度には限界がありますので、今後の情報に十分に注意されてください。

今年の6月から8月までの海面水温は?

図3:2026年6月から8月までに予測される海面水温の平年差(ºC)。予測開始日は5月1日。

日々の天気と異なり、季節を決める気候の変動には海水温が大きく関わっています(参照:季節予測とは?)。特に、熱帯は他の海域に比べて海面水温が高く、わずかな水温の変動が世界の気候に影響をもたらします。

SINTEX-Fの予測によると、今年の6月から8月まで太平洋の熱帯域は、海水温が平年より高くなり、強いエルニーニョ現象が発達する見込みです(図3)。また、インド洋の熱帯域は、海水温が東部で平年より低く、西部で高くなり、正のインド洋ダイポール現象が発生する見込みです。

図4:2026年5月以降に予測される、エルニーニョ指数、インド洋ダイポール指数(ºC)。予測開始日は5月1日。黒線が観測値、複数のカラー線が24個の異なる条件で実験した予測値で、紫線が24個の予測値の平均値。

それでは、これら熱帯域の海水温の変動が今後どのように発達、減衰していくのでしょうか?そこで、海水温の変動が最もよく現れる海域で平均した海水温の平年差を見てみましょう。熱帯太平洋のエルニーニョ指数を見ると(図4上段)、エルニーニョ現象はさらに発達して、夏には強いエルニーニョ現象となる見込みです。ただし、予測値(24個のカラー線)の振幅にばらつきが見られるため、今後の情報に注意されてください。こうした傾向は、他の一部の研究機関の予測結果でも見られています。

一方、インド洋の海水温の変動ですが、インド洋ダイポール指数を見ると(図4下段)、6月には0.5度を超えて、正のインド洋ダイポール現象が発生する見込みです。ただし、予測値(24個のカラー線)の振幅にばらつきが見られるため、今後の情報に注意されてください。こうした傾向は、他の一部の研究機関の予測結果でも見られています。

日本を含む世界の気候には、太平洋に発生するエルニーニョ・ラニーニャ現象だけでなく、インド洋など他の海域の水温の変動も影響を及ぼすことがわかっています。海洋起源の気候変動現象がこれからどのように推移し、世界の気候にどのような影響を与えるか、今後注意してみていきたいと思います。