| 黒潮は八丈島の南を流れる離岸流路です。四国・足摺岬でやや離岸、室戸岬と紀伊半島・潮岬ででほぼ接岸しています。房総半島では大きな離岸している中、東から暖水波及が弱くなっています。黒潮流路は、八丈島の南を流れる離岸流路が続きそうです。九州東には小蛇行が発達・移動すると予測しています。 |
JCOPE2の改良版であるJCOPE2Mは週2回の予測を行っています。ここでは2017年3月30日から6月1日の予測を解説します。
現状
図1と図2はJCOPE2Mで計算した3月30日と4月5日の黒潮の状態です。
黒潮は八丈島の南を流れる離岸流路です(図1,2)。
四国・足摺岬から紀伊半島・潮岬にかけては小規模な接岸と離岸の繰り返しになっています。現在は、足摺岬でやや離岸(離岸傾向t[1])、室戸岬と潮岬でほぼ接岸(接岸傾向s)になっています(図2)。
房総半島沖では、黒潮が大きく離岸する中、東からまわりこむようにして黒潮からの暖水が一部波及していましたが(図1, 接岸傾向α)、弱くなっています(図2)。
九州の南東では、黒潮が大きく離岸(小蛇行)しています(図1,2, 離岸傾向v)。
図1: 観測値を取り入れて作成した3月30日の推測値。矢印は海面近くの流れ（メートル毎秒）、色は海面高度（メートル）。赤丸(●)が八丈島の位置。海面高度が低いところは海面水温が低いおおまかな関係があります。
図2: 4月5日の予測値。
予測
図3・図4・図5は4月12日・4月19日・6月1日の予測です。
黒潮流路は、八丈島の南を流れる離岸流路が続きそうです(図3,4,5)。
房総半島沖では黒潮が大きな離岸から、しだいに接岸してきそうです(図3,4,5)。
九州南から東岸にかけては、大きめの離岸(小蛇行)が下流に移動してくる予測しています(図3,4)。紀伊半島・潮岬にかけては小蛇行が下流に移動してくると大きな離岸につながる可能性があります。小蛇行の移動する時期に予測毎に変わってくるので、週2回更新される最新の予測を参照してください。
図6は、3月30日から6月1日までの予測をアニメーションにしたものです。
図3: 4月12日の予測値。
図4: 4月19日の予測値。
図5： 6月1日の予測値。接岸・離岸の記号は略。
図6： 2017年3月30日から6月1日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。
JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。
- [1]接岸と離岸の傾向を上流から一連のアルファベットで図示しています。赤字ｍ,o,,が接岸傾向で、青字n,p,が離岸傾向です。黒潮上に接岸・離岸傾向は交互にあらわれており、黒潮が波うっている様子をあらわしています。接岸・離岸傾向は黒潮の流れで下流に流されます。アルファベットは図１から図4まで共通で（前号とも一部共通ですが、あらためて記号をふりなおしたところもあります）、同じアルファベット、例えば接岸傾向oが、上流から下流に位置が動いていることをしめしています。↩
