最近の水温の状況
先月から今月にかけての日本周辺の海面の水温の状況を見てみます。
図1は、今年4月22日と5月12日の海面の水温の平年との差を見たものです[1]。平年より高い場所が赤っぽい色、低い場所では青っぽい色になっています。図2は、同じく4月22日と5月12日の、水深100mの図です。水深100mでも海面と同じ変化が見られれば、水温の平年との差が天気だけでなく海流の影響を受けている可能性が高くなります。4月22日の状況については、「最近の水温の状況(2020/4)」をご覧ください。
4月(図1a)には平年より低いところが目立った日本海(図1A)や東シナ海( F)では、5月にはほぼ全域で平年より高くなりました(図1b)。東シナ海(F)でも同様です。
北海道から東北の東方沖で見られる平年より特に高い温度(B)は、海面(図1)だけでなく水深100m(図2)でも見られることから、海流の影響を受けていることがわかります。「暖水渦のプランクトンへの影響 (親潮ウォッチ2020/5)」で解説したように、黒潮からの暖水渦の影響です。沖合の親潮の水が入っているところでは平年より冷たい水も見られます。
黒潮続流が平年より北を流れているために、海面(図1)でも水深100m(図2)でも、水温が高くなっているところが見られます(C)。
黒潮南岸沖では黒潮大蛇行による冷水渦があります(図1b D)。海面下でも見えます(図2b D)。一方で、大蛇行の東側では黒潮が北上して岸に近づくので、関東から東海沿岸では平年より水温が高くなっています(図1,2 E)。
今後の日本周辺の水温については、姉妹サイトの「季節ウォッチ」も参考にしてください。
図1: 海面の温度の平年との差（℃）。[上段]2020年4月22日。[下段] 2020年5月12日。
図2: 水深100mの水温の平年との差（℃）。[上段]2020年4月22日。[下段] 2020年5月12日。
- [1]この記事では、今年の値はJCOPE2Mを使っています。平年の値はJCOPE2M再解析の1993～2018年の平均を使っています。JCOPE2M再解析データは学術研究利用では無償で公開しています。↩
