更新日:2020/05/11

公募研究

黒潮大蛇行に対する爆弾低気圧の応答に関わるプロセスの解明

研究代表者 平田英隆# (立正大学・助教)
研究協力者
[学位:*海洋学,#気象学]

近年、黒潮大蛇行に伴う海面水温変動が日本南岸を通過する温帯低気圧の経路や強度へ影響することが 明らかになってきた。しかしながら、黒潮大蛇行に対する低気圧の応答に関わる詳細なプロセスについては未解明な点が 残されている。我々の先行研究で得られた知見を踏まえると、低気圧の構造(前線、気流)の役割がその応答プロセスを 理解するうえで重要になることが想像できる。そこで、本研究では、低気圧の詳細な構造を再現可能な 高解像領域雲解像モデルによる数値シミュレーションを活用して、黒潮大蛇行に対する温帯低気圧の応答に関わる詳細な プロセスの解明に取り組む。本研究では、温帯低気圧の中でも、特に社会的にインパクトの大きな急速に発達する 温帯低気圧(爆弾低気圧)に焦点をあてる。
具体的には、以下の3 点の解明を目指す。

  1. 黒潮大蛇行が爆弾低気圧の“経路”へ与える影響に関する詳細プロセス
  2. 黒潮大蛇行が爆弾低気圧の“強度”へ与える影響に関する詳細プロセス
  3. 黒潮大蛇行に対する低気圧応答における、低気圧の構造(前線、気流)の役割

爆弾低気圧を研究対象に含むA01 班と密接に連携をとり、効果的に本研究を進展させていく。さらに、 A02・A03班と積極的に情報共有することで、黒潮の流路変動の中・長期予報が低気圧予報に与える影響(A02班と連携)や 将来気候下における海洋に対する低気圧応答(A03 班と連携)の理解にも貢献したいと考えている。

図1. 2018年1月22日の海面水温(色)と海面更正気圧(線)の分布。紀伊半島沖では、黒潮大蛇行に伴い冷水域が広がる。そこをちょうど爆弾低気圧(急発達する温帯低気圧)が通過している。近年の研究は、黒潮大蛇行が温帯低気圧へ影響することを指摘しているが、それに関わるプロセスについては未解明な部分が残されている。