観測
北西太平洋黒潮再循環域
白鳳丸KH-21-1航海 研究課題名「酸素・pHセンサー付フロートによる亜熱帯モード水の形成・輸送・散逸過程の研究」主席研究員:岡英太郎
この観測がテレビ朝日「報道ステーション」で紹介されました(2021年5月5日放送)
白鳳丸KH-21-1航海が2021年2月14日から25日まで、黒潮南方海域で行われました。航海の一番の目的は、A02-5班のメインの観測を行う生物地球科学(BGC)アルゴフロート6本の投入です。フロートが測定する溶存酸素やpHの値の精度確認と必要な補正をするために、フロート投入点で行うCTD採水観測も非常に重要です。他にも、XCTDによる亜熱帯モード水の断面観測、二酸化炭素等の海面フラックス観測、ラジオゾンデなどの気象観測などを行いました。
14日に東京・晴海から出港。事前の計画ではまず南東方向に向かう予定でしたが、本州南岸で低気圧急発達の予報が出ていたため、まずは伊勢湾に避難。海況が回復したのち、西側の海域から観測を始め、XCTD(使い捨て式CTD)を連続で投下しつつ、CTD観測点でフロートを投入していきました。
晩冬で常に波高2m以上の荒れた海況でしたが、途中18日から19日にかけて南に避難した以外は、観測を何とか続行。フロートも予定していた6台のうち5台を入れることができ、25日に鹿児島に入港しました。本航海と並行して行われた気象庁啓風丸の航海でも4台が投入され、コロナの影響で遅れていた亜熱帯モード水のフロート観測がようやくスタートしました。今後、4月から6月の啓風丸航海でさらに4台が投入され、全13台のフロート観測網が完成予定です。このフロート観測網により、亜熱帯モード水の挙動について面白い結果が得られることが期待されます。
コロナ禍での航海実施で、航海前には非常に緊張しましたが、幸いPCR検査は全員陰性。船上では、観測中のデータをリアルタイムで見ながら、生身の人間どうしで白熱した議論を行うという、大変な「贅沢」を乗船研究者一同楽しみました。
船尾からのBGCアルゴフロートの投入 [動画撮影:須賀利男(東北大学)]
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- 岡英太郎・西川 はつみ(東京大学 大気海洋研究所)・細田滋毅・川合義美(海洋研究開発機構)