高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、
- JCOPE-T DAによる短期予測(10日先)
- JCOPE2Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは10月22日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した10月14日・10月18日・10月21日の黒潮の状態です(1日平均)。
黒潮は東海沖で大きく離岸しており、黒潮大蛇行[1]と呼ばれる状態になっていましたが(A)、大蛇行から渦が大きくちぎれ離れつつあります。渦はちぎれているとも、かろうじてくっついてもいるとも言えそうな状態ですが、渦の中心の冷たい水が沿岸とは孤立していること、渦を迂回して南下する流れとは別にショートカットして黒潮が流れつつあること、予測では次第に渦が離れつつある(図1~3)ことから、渦がちぎれていると言えそうです。
潮岬(B)に黒潮が近づきつつあります。
四国の室戸岬(C)と足摺岬(D)では離岸していますが、特に室戸岬では黒潮からのびた暖水が近づきそうです(図1~3)。
黒潮は三宅島付近を流れています(E)。伊豆半島(E)から黒潮が離れている状態が続きそうです(図1~3)。
図4は10月12日午前9時から10月22日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。
JCOPE-T DAの予測は毎日更新されており、最新の予測はJAXAのサイトをご覧ください。図の見方は「JAXAと共同で新しい海洋予測を開始」で解説しています。

図1: 2020年10月14日の予測値(日平均)。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。青丸(●)が八丈島の位置。クリックすると拡大します。
図4: 10月12日午前9時から10月22日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
JCOPE-T DAは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測研究センター(EORC)と共同で、土曜日を除く毎日更新を行っています(解説参照)。