高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、
- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE2Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは9月25日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2022年9月5日・9月15日・9月25日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。
黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。黒潮大蛇行を作っている冷水渦の動きが大きく、予測に不確実さがあります。いずれにせよ、黒潮大蛇行が継続する予測です。
蛇行の後の北上する流れ(B)は、やや東に移動すると予測しています。大蛇行の渦の動きによって、予測が変化する可能性があります。
四国・足摺岬では離岸していますが、近づくと予測しています(図3, C)。
9月17日以降に水温が大きく低下すると予測されていますが(図3)、これは海洋予測で使っている天気予測が強い低気圧(台風?)を予測しているためです。まだ先のため予測が大きく変わる可能性があります。
図4は9月5日午前9時から9月25日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。
図4: 2022年9月5日午前9時から9月25日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
沖縄周辺の台風11号による水温低下と予測
図5は8月29日午前9時から9月25日午前9時までのアニメーションです(9月5日から25日までは予測)。台風11号で沖縄周辺では台風11号の通過によって海面水温が低下しました。図5はその様子を示しています。
図5: 2022年8月29日午前9時から9月25日午前9時までの1時間毎のアニメーション(9月5日から25日までは予測)。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト: 石垣島周辺での水温低下
JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト がリニューアル公開されました(「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)。このサイトには1地点での時間変化を描画する機能があります。
図6のようにサイトの右側の「時系列グラフ・データ」のボタンを押すと(①)、「時系列グラフ」のパネルが開きます。ここで地点を選んで(③)、「時系列グラフ作成」のボタンを押すと(②)、時間変化のグラフが出てきます(④)。
図7はこのようにして作った石垣島近くの海水面温度の時間変化です。予測も含む9月13日までの変化を見ています。石垣島ではこの夏水温が高く、サンゴの白化が発生しています。実際、図7を見ると、台風が来るまでは30℃を越える水温でした。図5のように台風が接近して、8月終わりから始めにかけて水温が低下しています。この後、28℃半ばの水温が続くと予測されています。
JCOPE-T DAは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測研究センター(EORC)と共同で、土曜日を除く毎日更新を行っています(解説参照)。