2022年11月20日までの黒潮「短期」予測 (2022年11月2日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは11月20日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2022年10月31日・11月10日・11月20日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。

蛇行の後、黒潮が北上し、岸に近づく位置(B)は、東に移動した後(図2)、また西に移動すると予測しています(図3)。

四国・足摺岬、室戸岬からは黒潮が離れています(C)。一部、足摺岬と室戸岬の南に時計回りの暖水渦ができるという予測です(図2,3 D,E)。

冬にむけて全体的に水温が低下していきます(図1~3)。

図4は10月31日午前9時から11月20日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2022年10月31日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし11月10日午前9時の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし11月20日午前9時の予測値。

 


図4: 2022年10月31日午前9時から11月20日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


今週のハイライト: 相模湾への黒潮の流入

リニューアル公開されたJAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は、四国付近の、10月20日と31日の人工衛星「ひまわり」温度分布と予測モデルによる流れの図です。

水温を見ると10月20日に比べて31日のほうが大島西から北に相模湾に暖水が入り込んでいます。これは流れを見ると、相模湾付近で黒潮が北上して黒潮が入りやすくなっていることと対応しています。

Fig4

図5:10月20日午前10時の人工衛星「ひまわり」による水温分布(色)と流速のアニメーション(①で指定)。水温の色の幅は20~25℃、流速は0~1m/sにした(②で指定)。流速はこの図では静止画だが実際のサイトではアニメーション。

Fig6

図6: 図5に同じ。ただし10月31日午前10時。