海洋予測モデルJCOPE2Mで、約2か月先までの予測を行っています。図1はJCOPE2Mによる水深100メートル[1]での7月5日の水温(色、℃)と流れ(矢印)です。赤色が黒潮の影響を受けた暖かい水温で、青色が親潮の影響を受けた冷たい水温です。親潮の影響を受けている範囲の指標として、水温5°Cに赤線を引いています。
暖水渦(A)が北海道の南東にあり、親潮が南下しにくい状況になっています。そのために例年より暖水が広がっています。近年は夏にこのような状況になることが多いです(「北海道・東北沖で海洋熱波が頻発していることが明らかに」参照)。気象庁の診断でも現時点で親潮の影響面積は例年に比べてかなり小さくなっています。
図2、3は8月13日、9月13日の予測です。暖水渦Bなどが他の暖水渦と融合しながら親潮域に暖水渦が存在し続けるので、高い水温が続きそうです。黒潮続流も北寄りで、暖水渦を生むことで高い水温を維持するのに働きそうです。
日本海では北海道西部で暖水が平年以上に広がっており、それが続くと予測しています。
図4は2022年7月5日から9月13日までの予測をアニメーションにしたものです。

図1: JCOPE2Mによる2022年7月5日の水深100メートルでの水温(色、℃)と流れ(矢印)。赤色が5°Cより高い黒潮の影響を受けた暖かい水温で、青色が5°Cより低い親潮の影響を受けた冷たい水温。親潮の影響を受けている範囲の指標として水温5°Cに太い赤線を引いた。青線は1993-2020年平均の水温5°C線で平年の親潮の影響範囲。
図4: 図1に対応する2022年7月5日から9月13日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。
- [1]天気の影響を受けやすい海面よりも海流の状態を反映していると考えられます。↩

黒潮親潮ウォッチでは、親潮の現状について月に一回程度お知らせします。親潮に関する解説一覧はこちらです。 JCOPE-T-DAによる短期予測はJAXAのサイトで見ることができます。 4日毎に更新されるJCOPE2Mによる親潮の長期解析・予測図はJCOPE のweb pageで見られます。親潮関係の図の見方は2017年1月18日号と2017年2月1日号で解説しています。