2022年12月18日までの黒潮「短期」予測 (2022年11月30日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは12月18日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2022年11月28日・12月8日・12月18日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。

蛇行の後、黒潮が北上し、岸に近づく位置(B)は、西に移動すると予測しています(図2,3)。関東から東海沿岸では南に離岸すると予測しています。黒潮がショートカットする流れができる可能性があります(図3)。

四国・足摺岬に黒潮が近づいています(図1~3 D)。

冬にむけて全体的に水温が低下していきます(図1~3)。

図4は11月28日午前9時から12月18日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2022年11月28日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし12月8日午前9時の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし12月18日午前9時の予測値。

 


図4: 2022年11月28日午前9時から12月18日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


今週のハイライト: 黒潮の分岐流

リニューアル公開されたJAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は、九州東の11月24日の人工衛星「ひまわり」海面水温分布と予測モデルによる流れの図です。

黒潮の本流は蛇行した後、北東向きに流れています。「ひまわり」観測では高い水温として見えています。

一方、東海沿岸では沿岸沿いに高い水温が南北に細く西に伸びています。これは黒潮分岐流によるものだと考えられます。モデルでも西向きの流れがあるとしています。

相模湾では、大島の北に一部黒潮の水が入っていることが、流れと水温の図からうかがえます。

Fig5

図5:11月24日午前7時の人工衛星「ひまわり」による海面水温観測(色)と流速のベクトル(①で指定)。水温の色の幅は20~23℃とした(②で指定)。