2023年2月19日までの黒潮「短期」予測 (2023年2月1日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは 2月19日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年1月30日・2月9日・2月19日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。

大蛇行はS字カーブを描いて北上しています(図1C, 図5も参照)。蛇行のくびれが大きくなってくると予測しています(図2~3)。

四国・足摺岬(D)で黒潮が離れていますが、近づく予測です(図3)。

四国・室戸岬沖(E)では離岸していますが、東側から時計回りの暖水が近づく予測になっています(図3)。

図4は1月30日午前9時から2月19日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2023年1月30日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし2023年2月9日午前9時の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2023年2月19日午前9時の予測値。

 


図4: 2023年1月30日午前9時から2月19日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


今週のハイライト: 東海南方の黒潮S字流路

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は、東海南方の1月30日のの人工衛星「ひまわり」海面水温分布とモデルによる流速です。

黒潮がS字カーブを描いて北上している様子がうかがえます(図1も参照)。そのために熊野灘から遠州灘にかけて水温が高くなっています。

Fig5

図5:1月30日午前9時の人工衛星「ひまわり」による海面水温観測(色)とモデルによる流れ(矢印) (①で指定)。水温の色の幅は13~20℃とした(②で指定)。S字カーブの流路にSの字を模式的に置いた。