JCOPEのホームページでは、黒潮親潮ウォッチで紹介している図以外に、様々な解析・予測画像を週に2回[1]更新し、公開しています。この解説では、連載「JCOPE2解析・予測画像の見方」の続きで、その解析・予測画像の見方を説明します。
「JCOPE2解析・予測画像(英語)」のページに移動すると(移動方法は「JCOPE2解析・予測画像の見方(1)」参照)、それぞれの日付毎にいくつかの図を見れます。上から順に
- 伊豆諸島周辺の海面水温(等値線)と流れ(矢印)
- 東北・太平洋沖の海面水温(等値線)と流れ(矢印)
- 北海道東北・太平洋沖の水深100メートルの海水温(等値線・色)(今回)
- 黒潮域の水深200メートルの海水温(色)と流れ(矢印)
- 北西太平洋(JCOPE2計算全領域)の海面水温(色)
- 北西太平洋(JCOPE2計算全領域)の海面高度(等値線・色)
- 東シナ海の海面塩分
です。今回は「3. 北海道東北・太平洋沖の水深100メートルの海水温(等値線・色)」の解説です。
2017年1月27日の日付を選んで、3番目の図を見ると、図1のような北海道東北・太平洋沖の図があります。
色は水深100mの水温(ºC)をしめしています。海面水温でなく、水深100mの図にしているのは、海面だと日々の天気や季節の変化という大気の変化の影響を受けやすいのに対し、水深100mではそれらの影響が小さくなり海流による影響を見やすくなるためです。
水温は、南で温度が高く(赤っぽい色)、北で温度が低い(青っぽい色)ことがわかります。千葉・茨城県沖での高温は、黒潮の続きである黒潮続流[2]の影響を受けている海域です。北海道沖での低温は、親潮の影響を受けている海域です。図には水温5℃に等値線がひかれており、親潮の影響範囲の指標として使われています[3]。黒潮続流と親潮の間には両者の水が混じり合う混合水域[4]があります。
図1と1年前の1月27日の図(図2)を比較すると、今年は東北沖にひときわ温度の高い所があるのが特徴です。暖水渦または暖水塊と呼ばれる現象です。この暖水渦(塊)の動きについては、親潮ウォッチ2017/01を参照してください。
この暖水渦にさえぎられるように、沿岸寄りでは親潮が南下しにくくなっています(親潮第一分枝[5]、図ではOY1)。一方で、沖側(親潮第二分枝、図ではOY2)では暖水渦をまわりこむようにして親潮が南下しており、昨年(図2)より南にのびています。
図3では、2017年3月30日の予測(図3上)と1年前の3月30日の図(図3下)を比較しています。3月(図3上)の暖水渦での色は薄まっており、1月(図1)より暖水渦はやや弱まりそうです。沿岸よりの親潮(親潮第一分枝・OY1)は暖水渦にさえぎられるのが続きそうです。一方で、沖側の親潮(親潮第二分枝・OY2)は、暖水渦をまわりこみ、昨年より(図3下)今年(図3上)の方が南下しそうです。
この海域の今後については親潮ウォッチでも解説していきますが、今回解説したの週2回更新されるJCOPE2Mの解析・予測画像もご活用ください。
- [1]2016/12/16号解説参照。↩
- [2]2016/2/19号解説「黒潮の続き、黒潮続流」↩
- [3]水深100mの水温5℃線は、親潮面積の定義に使われるなど親潮ウォッチでよく使用しています。親潮面積については、2015/09/04解説を参照してください。↩
- [4]2016/11/11号解説「親潮と黒潮の間・混合水域」↩
- [5]親潮第一分枝・第二分枝については2015/07/03の解説を参照してください。↩