高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、
- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE2Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは 4月9日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年3月20日・3月30日・4月9日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。
黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。
大蛇行はS字カーブを描いて北上しています。蛇行のくびれが大きくなってくると予測しています(A,B,C 図2~3)。
四国・室戸岬(E)で黒潮が離れていますが、一部暖水は近づいており(図1~2)、土佐湾の南で時計回りの循環になっています(図5も参照)。その後、東からも暖水が近づき、黒潮も近づく予測です(図3)。
四国・足岬沖(D)では離岸していますが、豊後水道の南に時計回りの循環があり、南から暖水が近づいています(図1, 図5も参照)。黒潮は離岸が続くという予測です。
図4は3月20日午前9時から4月9日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。
図4: 2023年3月20日午前9時から4月9日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト: 黒潮大蛇行の位置
JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。
図5は、日本東方の3月19日の人工衛星「ひまわり」観測による水温と、モデルによる流速の推定値です。
黒潮は離れていますが、人工衛星の水温からは四国に暖水が近づいていることがわかります。流速は、土佐湾の南と豊後水道の南に時計回りの渦があり、暖水を運んでいることがうかがえます。宮崎沖では南向きの流れになっており、それは宮崎県のHFレーダーでも確かめることができます。