高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、
- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE2Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは 4月23日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年4月3日・4月13日・4月23日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。
黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。
大蛇行はS字カーブを描いて北上しています(B)。房総半島からやや黒潮が離れた状態が続きそうです(図1~3C, 図5も参照)。
四国・室戸岬(E)で黒潮が離れていますが(図1)、近づくという予測になっています(図3)。
四国・足岬沖(D)では離岸していますが、黒潮から枝分かれした暖水が近づくと予測しています(図1~3)。
図4は4月3日午前9時から4月23日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

図1: 2023年4月3日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸(●)が八丈島の位置。クリックすると拡大します。
図4: 2023年4月3日午前9時から4月23日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト: 房総半島東の急激な水温変化
JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。(注: 3月28日から4月3日までスーパーコンピュータ地球シミュレータの定期メインテナンスのために予測が更新されません)
図5は、日本東方の4月4日の人工衛星「ひまわり」観測による水温と、モデルによる流速の推定値です。
黒潮は房総半島東で岸から離れていくように流れています。そのために房総半島で急激な水温の境目があります。千葉県一宮町に多数のイルカが打ち上げられた事が話題になっていますが、このような水温変化が影響しているかもしれません。