高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、
- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE2Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは 5月29日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年5月9日・5月19・5月29日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。
黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。
大蛇行はS字カーブを描いて北上しています。大蛇行の南端から渦がちぎれそうで、なかなかちぎれない予測です。房総半島からやや黒潮が離れた状態ですが(図1C) 、近づきそうです(図2~3) 。
四国・足摺岬(D)と室戸岬(E)で黒潮が続きそうですが、東から暖水が近づくかもしれません(図2~3) 。
夏にむけて全体的に水温が上昇していきます。
図4は5月9日午前9時から5月29日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

図1: 2023年5月9日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸(●)が八丈島の位置。クリックすると拡大します。
図4: 2023年5月9日午前9時から5月29日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト: 黒潮の大蛇行の様子が変わってきた?
JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。
図5・6は5月2日と5月10日の人工衛星「ひまわり」観測による水温です。先週も書いたように、海面水温からは東西幅の狭い蛇行が続いている様子が見えていました(図5、参考までに青線)。しかし、今週になってそのような水温構造は見えなく(あるいは見えにくく)なっています(図6) 。黒潮大蛇行の様子が変わってきているのかもしれません。引き続き監視していきます。