2023年8月14日までの黒潮「短期」予測 (2023年7月26日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは 8月14日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年7月25日・8月4日・8月14日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。A、B、Cと流れるS字カーブの蛇行は強化されると予測しています。

四国付近(D)では足摺岬からはやや離れ、室戸岬に暖水が近づいている状態です(図1、図5も参照)。今後は、黒潮がまず足摺岬に(図2) 、その後に室戸岬に近づく予測になっています(図3) 。

図4は7月25日午前9時から8月14日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2023年7月25日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし2023年8月4日午前9時の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2023年8月14日午前9時の予測値。


図4: 2023年7月25日午前9時から8月14日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。

 


今週のハイライト: 四国付近の黒潮

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は7月26日の人工衛星「ひまわり」観測による海面水温とモデルによる流れの推定値です。暖水の分布から、黒潮は足摺岬からはやや離れ、室戸岬に近づいていることが示唆されます。

筆者は、黒潮が豊後水道にどのように入っているかを調べるため、豊後水道での観測に参加しています。

Fig5

図5:7月26日午後4時の人工衛星「ひまわり」による観測海面水温(色)とモデルによる流れの推定値(矢印)(①で指定)。色の幅は26から32℃に設定した(②で指定)。