高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、
- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE2Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは 8月28日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年8月8日・8月18日・8月28日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値の目安として加えています。
黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。
A、B、Cと流れるS字カーブの蛇行は強化され(図2) 、その後に緩む(図3)と予測しています。
四国付近(D)では、黒潮が足摺岬に近づく予測になっています(図2~3) 。
台風により沖縄周辺の海水が冷却され、それが九州南に流れてくる可能性があります(図2、図5,6も参照)。伊豆半島や房総半島には黒潮が近づき、水温が上昇しそうです。
台風7号の接近が予測されているため水温の低下が見られますが(図2) 、これは台風の実際の進路により大きく変化する可能性があります。
図4は8月8日午前9時から8月28日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

図1: 2023年8月8日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸(●)が八丈島の位置。クリックすると拡大します。
図4: 2023年8月8日午前9時から8月28日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト: 台風による水温低下
JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。
図5は8月9日の人工衛星「ひまわり」による水温の観測値です。
現在、台風6号が九州付近を通過中です。雲で隠れている場所では海水温を見ることはできませんが、雲が切れているところで水温低下の一端を見ることができます(図5、赤矢印)。
図6は同じ時のモデルによる海面水温の推定値です。雲の下での海面水温も推定しています。モデルでは台風7号によると思われる水温低下も見られています(図6、青矢印)。