2024年2月26日までの黒潮「短期」予測 (2024年2月7日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは2月26日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2月6日・2月16日・2月26日の黒潮の状態です。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。

伊豆半島付近と房総半島付近では黒潮が近づいています(図1~2 B, C) 。Bから暖水が西に分岐しています(図1) 。今後 、いったん強まった後(図2) 、弱まりそうです(図3) 。伊豆半島や房総半島からはやや離れるかもしれません(図3) 。

四国付近(D)では、黒潮が足摺岬からやや離れています(図1、図5も参照) 。九州南東には小蛇行があります(図5も参照)。小蛇行の下流への動きとともに、黒潮が近づく位置は東へと移動していくという予測です(D, E, 図1~3) 。そのために黒潮大蛇行の形がいびつになる予測になっています。

図4は2月6日午前9時から2月26日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2024年2月6日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

図2: 図1に同じ。ただし2024年2月16日。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2024年2月26日午前9時の予測値。

 


図4: 2024年2月6日午前9時から2月26日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。

 


今週のハイライト: 九州・四国付近の黒潮

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は2月6日の人工衛星「ひまわり」による海面水温の観測値とモデルによる流れの推定値です。

水温の分布で黒潮の暖かい水と足摺岬の間にやや冷たい水があることから判断するに、黒潮はやや足摺岬から離れているようです。九州南東には小蛇行のために冷たい水温が広がっています。九州東の温度の高い水と低い水の間は波打ったような形になっています。

Fig5

図5:2月6日午前10時の人工衛星「ひまわり」による海面水温の観測値(色)とモデルによる流れの推定値(矢印)(①で指定)。色の幅は15から23℃に設定した(②で指定)。