暖水渦は弱まりつつあるも黒潮続流が北偏 (親潮ウォッチ2023/2)

見通し(長期予測)

海洋予測モデルJCOPE2Mで、約2か月先までの予測を行っています。図1はJCOPE2Mによる水深100メートル[1]で1月13日の水温(色、℃)と流れ(矢印)です。赤色が黒潮の影響を受けた暖かい水温で、青色が親潮の影響を受けた冷たい水温です。親潮の影響を受けている範囲の指標として、水温5°Cに赤線を引いています。

暖水渦(A)が北海道の南東にあり、親潮が南下しにくい状況です。そのために例年より暖水が広がっています。暖水渦の影響は弱まりあると見られ、親潮が南下する時期もあると予測しています(図2)。ただ黒潮続流(B)が例年に比べて北に偏ってており、水温は高めに推移しそうです(図3)

日本海では北海道西部で暖水が平年以上に広がっており、それが続くという予測です(C)。

図4は2023年2月6日から4月17日までの予測をアニメーションにしたものです。

Fig1

図1: JCOPE2Mによる2023年2月6日の水深100メートルでの水温(色、℃)と流れ(矢印)。赤色が5°Cより高い黒潮の影響を受けた暖かい水温で、青色が5°Cより低い親潮の影響を受けた冷たい水温。親潮の影響を受けている範囲の指標として水温5°Cに太い赤線を引いた。青線は1993-2020年平均の水温5°C線で平年の親潮の影響範囲。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし2023年3月17日の予測。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2023年4月17日の予測。

 


図4: 図1に対応する2023年2月6日から4月17日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。

 

今月のハイライト: 温度の境目

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト がリニューアル公開されました(「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)。このサイトでは上の予測(JCOPE2M, 約9kmメッシュ)よりも高分解能のモデル(JCOPE-T DA, 約3km)の様々な図を見ることができます。モデルの結果と人工衛星「ひまわり」の図を重ねることもできます。

図5は、2月7日の「ひまわり」観測の海面水温とモデルによる流速の推定です。

親潮による冷たい水がA付近、黒潮続流による暖かい水がB付近、中間がC付近にあり、温度の境目がはっきりと見えています。

Fig5

図5:2月7日午後2時の人工衛星「ひまわり」による水温分布(色)とモデルによる流れ(矢印)(①で指定)。水温の色の幅は0~20℃とした(②で指定)。

 


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黒潮親潮ウォッチでは、親潮の現状について月に一回程度お知らせします。親潮に関する解説一覧はこちらです。 JCOPE-T-DAによる短期予測はJAXAのサイトで見ることができます。 4日毎に更新されるJCOPE2Mによる親潮の長期解析・予測図はJCOPE のweb pageで見られます。親潮関係の図の見方は2017年1月18日号2017年2月1日号で解説しています。

  1. [1]天気の影響を受けやすい海面よりも海流の状態を反映していると考えられます。