高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、
- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE2Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは3月24日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した3月4日・3月14日・3月24日の黒潮の状態です。
黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。
伊豆半島付近と房総半島付近では黒潮が近づいています(図1~2 B, C) 。Bから暖水が西に分岐しています(図1) 。今後 、いったん弱まった後(図2) 、強まりそうです(図3) 。
九州の東に小蛇行があります(図5も参照)。小蛇行の下流への動きとともに、黒潮は四国離れますが、黒潮から切り離された暖水は残るという予測です(D’, 図1~3) 。小蛇行の動きを受けて、黒潮蛇行はいびつな形になると予測されています(図2~3, A) 。図3のように蛇行の南端から小規模に渦がちぎれる可能性もあります。小蛇行が東に移動した後は、黒潮が足摺岬に近づくと予測されています(図3, E) 。
図4は3月4日午前9時から3月24日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

図1: 2024年3月4日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。青丸(●)が八丈島の位置。クリックすると拡大します。
図4: 2024年3月4日午前9時から3月24日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト: 黒潮の3つの蛇行
JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。
図5は3月4日の人工衛星「ひまわり」による海面水温の観測値です。
現在は黒潮に3つの大きな蛇行があります。
まず、紀伊半島の南に黒潮大蛇行による蛇行があります(a)。
九州の東には冷たい渦があり、その影響を受けて黒潮が蛇行しています(b)。九州東の蛇行は小蛇行と呼ばれることが多いですが、いまはかなり蛇行が大きくなっています。
東北太平洋岸では黒潮続流が極端に北上しており、暖水の蛇行になっています(c, 親潮ウォッチ参照)。