2024年7月16日までの黒潮「短期」予測 (2024年6月27日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは7月16日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した6月26日・7月6日・7月16日の黒潮の状態です。

黒潮大蛇行(A)が続いています(図1, 長期予測も参照)。

A→B→Cという大蛇行からの北上流のS字カーブが大きくなると予測しています(図1~3) 。東海から関東にかけて黒潮が沿岸に近づいたりやや離れたりします(B-C) 。房総半島の黒潮の間に水温の冷たい海域ができています(図1 C。図5も参照)。今後、温度が上昇する可能性があります(図3)。

四国・足摺岬では黒潮が近くを流れそうです(E) (図1~3) 。室戸岬付近には黒潮から分岐した暖水が近づき(図1)、室戸岬と潮岬の間は時計回りの循環になっているようです(D)。

夏に向けて全体的に水温が上がっていきます。

図4は6月26日午前9時から7月16日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2024年6月26日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

図2: 図1に同じ。ただし2024年7月6日。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2024年7月16日午前9時の予測値。

 


図4: 2024年6月26日午前9時から7月16日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。

 


今週のハイライト: 房総半島沿岸の冷水域

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は6月26日の人工衛星「ひまわり」で観測された水温とモデルによる流れの推定値です。

豊後水道と流れの速い黒潮の間に、水温の冷たい海域が形成されています。

Fig5

図5:6月26日午後1時の人工衛星「ひまわり」による海面水温観測(色)とモデルによる流れの推定値(矢印)①で指定)。色の幅は21から30°Cに設定した(②で指定)。

 

 



JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。