new三陸沖集中観測(親潮ウォッチ2026/7)

黒潮続流からの暖水により親潮が大きく後退し、水温がかなり高くなると予測しています。

見通し(長期予測)

海洋予測モデルJCOPE3Mで、約2か月先までの予測を行っています。

図1左はJCOPE3Mによる水深10メートルでの、7月25日の水温(色、℃)と流れ(矢印)です。右が同じ日の平年の値です[1]

[今回から試験的、暖水(高気圧性、高水圧、時計回り)渦をH、冷水(低気圧性、低水圧、反時計回り)渦をLとして図で表示しています]。

黒潮続流(A)が平年よりも高い緯度にあるのに加えて、黒潮続流から派生した暖水渦BDEなどにより水温が平年より高くなっています。唯一、冷水渦Cの存在する場所では平年よりもやや水温が冷たくなっています。

気象庁の親潮の面積の時系列を見ると、2024や2025年に比べれば親潮の勢力は大きくなっていますが、それでも平年をかなり下回っています。

予測(図2)では、暖水渦BやEを黒潮続流が取り込み、黒潮続流(A)が大きく北上します。

その後(図3)、北上した黒潮続流から暖水渦が放出され(A)、東北沿岸では水温が大きく上昇する可能性があります。冷水渦Cが残る北海道南東沖では比較的水温が低く保たれるかもしれません。

水産庁の予測でも黒潮続流と親潮が北偏すると予測されています。

図4は2026年7月25日から9月25日までの予測をアニメーションにしたものです。

Fig1
図1: 左はJCOPE3Mによる2026年7月25日の水深10メートルでの水温(色、℃)と流れ(矢印)。右は同日の平年値。Hは暖水(高気圧性、高水圧、時計回り)渦、Lは冷水(低気圧性、低水圧、反時計回り)渦。

 

Fig2
図2: 図1に同じ。ただし2026年8月25日の予測。

 

Fig3
図3: 図1に同じ。ただし2026年9月25日の予測。

 


図4: 図1に対応する2026年7月25日から2026年8月25日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。

三陸沖集中観測

上で見たように、これから三陸沖では水温が高く、さらに水温が上昇する可能性があります。このような状況において、学術変革領域研究(A)「ハビタブル日本」によって三陸沖集中観測が行われました。高い水温による海洋生態系や大気への影響に関する研究結果が期待されます。

活動報告より

短期予測

長期予測(JCOPE2M, 約9kmメッシュ)よりも高分解能のモデル(JCOPE-T DA, 約3km)による20日予測のアニメーションを、YouTubeに1週間に一度の間隔で掲載しています。親潮ウォッチの更新は月に一回ですが、一週間に一度の予測のアニメーションも参考にしてください。

今月のハイライト: 暖水にはさまれた親潮

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (解説は「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」) 。このサイトでは上の予測(JCOPE2M, 約9kmメッシュ)よりも高分解能のモデル(JCOPE-T 1ks 約1kmやJCOPE-T DA 約3km)の様々な図を見ることができます。モデルの結果と人工衛星「ひまわり」の図を重ねることもできます。

図5は、7月29日の「ひまわり」観測の海面水温です。

図1の冷水渦Cに対応する海域を例外として、黒潮続流からつながった高い水温の海水が北上している様子がうかがえます。

日本海の水温の高さも目を引きます。

Fig5
図5: 2026年7月29日の「ひまわり」観測の海面水温(リンク)(色, ①で指定)。水温の範囲を10~28℃とした(②で指定)。
  1. [1]JCOPE3Mは平年のデータが無いため、JCOPE2Mの1993年から2020年の平均で平年の値を計算しています。

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黒潮親潮ウォッチでは、親潮の現状について月に一回程度お知らせします。親潮に関する解説一覧はこちらです。 JCOPE-T-DAによる短期予測はJAXAのサイトで見ることができます。 4日毎に更新されるJCOPE2Mによる親潮の長期解析・予測図はJCOPE のweb pageで見られます。親潮関係の図の見方は2017年1月18日号2017年2月1日号で解説しています。