new2025年10月27日までの黒潮「短期」予測 (2025年10月8日発表)

    • JCOPE-T DAによる短期予測 (20日先)
    • JCOPE3Mによる長期予測 (2か月先)

を行っています。

ここでは10月27日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3は、JCOPE-T DAで計算した10月7日・10月17日・10月27日の黒潮の状態です。

気象庁と海上保安庁は、黒潮大蛇行が2025年4月に終息したとの判断を発表しています(2025/8/29発表)。しかし黒潮大蛇行の余波は続いています(「2025年の黒潮のこれまでをふりかえる」参照)。黒潮からちぎれていた渦が吸収される形で、東海沖に蛇行があります(図1 A”)。

黒潮は八丈島付近を流れています(図1, B。図5も参照)。蛇行A”に関連して、時計回りの暖水の分岐流が存在していましたが、弱まりつつあります(図1 E。図5も参照)。四国から紀伊半島にかけて黒潮が近づいています(D)。

A”の蛇行が東に移動すると予測されています(図2~3)。暖水渦Eは縮小、消滅していく予測です(図2~3)。

房総半島付近(C)では黒潮が離れ(図2)、再び近づく予測になっています(図3)。

黒潮は四国から紀伊半島に近づき(D)、九州東からは離れると予測されています(F)(図2~3)。

冬に向けて水温が下がっていきます(図1~3)。台風の進路次第ですが、台風による影響もありそうです(図4, 図5も参照)。

図4は10月7日午前9時から10月27日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1
図1: 2025年10月7日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

図2: 図1に同じ。ただし2025年10月17日午前9時の予測値。

 

Fig3
図3: 図1に同じ。ただし2025年10月27日午前9時の予測値。

 


図4: 2025年10月7日午前9時から10月27日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。

今週のハイライト: 台風22号の影響

図5はJAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトで見た、10月8日12時時点でのモデルによる海面水温推定値です。

台風22号が近づいており、台風が通った所では水温が低下していると推定されています。

今後、台風は八丈島に近づくと予測されています。八丈島付近には黒潮が流れており、水温が高くなっています。台風が発達する恐れがあります。あくまで予測ですので、台風については最新の情報をご確認ください。

Fig5
図5:2025年10月8日12時のモデルによる海面水温の推定値(リンク)(①で指定)。水温の色の範囲を25~31度とした(②で指定)。



JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。