| 親潮自体は平年より冷たいですが、暖水渦にはばまれて岸近くで南下しにくい状況です。代わりに沖合で南下する予測です。 |
見通し(長期予測)
海洋予測モデルJCOPE3Mで、約2か月先までの予測を行っています。
図1左はJCOPE3Mによる水深10メートルでの、10月26日の水温(色、℃)と流れ(矢印)です。右が同じ日の平年の値です[1]。
黒潮続流は平年よりも高い緯度を流れています。
親潮自体は千島周辺で平年よりも強く冷たくなっています。しかし、黒潮続流からちぎれた北上した時計回りの暖水渦Aの存在のため、平年に比べて親潮(B)が北海道・東北の岸沿いに南下しにくくなっています。そのため北海道南岸から東北太平洋側沿岸では水温が高くなっています。
今後の予測(図2~3)でも、暖水渦の影響が続くことから、親潮自体は勢いがあり、冷たいものの、親潮の岸沿いの南下は限定されそうです。代わりに沖合で南下しそうです(B)。黒潮続流も平年より高めの緯度が続くと予測しています。そのため、北海道南岸から東北沿岸では高い水温が続きそうです。
図4は2025年10月26日から12月27日までの予測をアニメーションにしたものです。



図4: 図1に対応する2025年10月26日から12月27日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。
短期予測
長期予測(JCOPE2M, 約9kmメッシュ)よりも高分解能のモデル(JCOPE-T DA, 約3km)による20日予測のアニメーションを、YouTubeに1週間に一度の間隔で掲載しています。親潮ウォッチの更新は月に一回ですが、一週間に一度の予測のアニメーションも参考にしてください。
- [1]JCOPE3Mは平年のデータが無いため、JCOPE2Mの1993年から2020年の平均で平年の値を計算しています。↩
黒潮親潮ウォッチでは、親潮の現状について月に一回程度お知らせします。親潮に関する解説一覧はこちらです。 JCOPE-T-DAによる短期予測はJAXAのサイトで見ることができます。 4日毎に更新されるJCOPE2Mによる親潮の長期解析・予測図はJCOPE のweb pageで見られます。親潮関係の図の見方は2017年1月18日号と2017年2月1日号で解説しています。
親潮は沖合で南下 (親潮ウォッチ2025/10)