小蛇行発達の様子(2017年初めから4月末まで)

現在、九州の南東から東にかけて小蛇行(大きめの離岸)が発達しています(今週の現状参照)。小蛇行は、その発達により、黒潮流路に大きな影響を与えます[1]

図1では、4月27日の九州周辺の海面水温を、JCOPE2Mによる推定値(左)と気象衛星「ひまわり8号」[2]による観測(右)で見ています。温度の高い帯として見える黒潮は九州から大き離れ、小蛇行しています。その影響で、黒潮と九州の間は冷たい海水が広がっています。

JCOPE2Mは、気象衛星「ひまわり8号」による海面水温の観測データをうまく取り入れて、雲で観測出来ない所も含め、水温を推定しています。そのデータを元に、海流(図1左、矢印)も推定しています。強い流れ(矢印が長い)のが黒潮です。現状のJCOPE2Mの分解能は、「ひまわり8号」の観測よりも粗いですが、さらに高分解能の予測モデルの開発も進めています。

Fig1

図1: 2017年4月27日の九州の海面水温を見た図。左図はJCOPE2Mの解析値から(1日平均)。右図がひまわり8号の観測から作成された海面水温(1日平均)。左図にはJCOPE2Mの流速も矢印でしめしている。

 

図2は、図1と同様の図を、2017年1月1日から4月27日までアニメーションにしたものです。1月には九州沿岸を流れていた黒潮が、次第に岸から離れ、岸との間に冷たい海水が広がる様子を注目してみてください。


図2: 九州の海面水温を2017年1月1日から4月27日まで見たアニメーション。左図はJCOPE2Mの解析値から(1日平均)。右図がひまわり8号の観測から作成された海面水温(1日平均)。左図にはJCOPE2Mの流速も矢印でしめしている。クリックして操作して下さい。途中で停止することもできます。

  1. [1]参照:解き明かされつつある黒潮大蛇行の謎と黒潮のこれから(海洋研究開発機構・宮澤泰正、海洋政策研究所Ocean Newsletter)
  2. [2]ひまわり8号」の海面水温については、2015/10/9号・気象衛星「ひまわり8号」で見た黒潮を参照。JAXA提供の「ひまわり8号」海面水温データは、2016年8月31日からバージョン1.2にバージョンアップしています。鹿児島県水産技術開発センター和歌山水産試験場からも「ひまわり」の画像が公開されています。過去の「ひまわり8号」の水温データを使った解説一覧はこちら。