2017年7月24日から8月25日の予測を検証します

毎月の月末は、過去1カ月の予測を検証する予定です[1]。今回は2017年7月28日号の、7月24日から予測した8月25日までの結果を検証します。

予測と実際

図1上段は、7月24日から予測した8月25日の黒潮の状態です。図1下段は、観測値を取り入れて実際に近いと考えられる8月25日の状態です。図2は、同じく、予測値(上段)と実際(下段)の比較を、7月24日から8月25日までのアニメーションにしたものです。

7月28日号の予測のポイントの一つは、伊豆諸島周辺の大きな蛇行(蛇行1)がしばらく続くものの、東に移動し、しだいに規模が小さくなるということでした(図1上段)。実際は予測ほどは縮小していませんが、予測は当たっていました(図1下段)。

7月28日号の予測のもうひとつポイントは、四国・室戸岬付近を通過中であった小蛇行2が東に移動し、紀伊半島・潮岬では離岸が始まるということでした(図1上段)。この予測も当たっていました(図1下段)。ただし、実際の小蛇行は、紀伊半島を通過するときに、予測よりも急速に大きく発達しました。この小蛇行の発達には、2017/8/9号で「海山が黒潮大蛇行の引き金になる?」で解説した、膠州(こうしゅう)海山と呼ばれる地形が影響した可能性があります。大きく発達した蛇行(図1下段の黄色矢印)に引き込まれるように、紀伊半島東岸から東海沿岸にかけて暖水が入りこみました(図1下段のオレンジ矢印)。実際よりも弱めでしたが、予測でも暖水流入は予測されていました(図1上段)。

予測と実際で、違っていた所と、合っていたところは、図2のアニメーションもご確認ください。黒潮の蛇行の行方については、毎週の黒潮予測記事でも、気象衛星「ひまわり8号」が観測する海面水温と比較しながら検証しています。

Fig1

図1: [上段]2017年7月24日から予測した8月25日の予測値。[下段]観測値を取り入れて推測した2017年8月25日の解析値。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面高度(メートル)。赤は八丈島の位置。

 


図2: 2017年7月24日から8月25日までの予測(上段)と実際(下段)の比較のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。

  1. [1]2017/7/12号「黒潮流路はどれくらい先まで予測できるのか」でも解説しているように、1ヶ月はある程度の精度をもって予測できる限界に近い長さです。毎月の検証では、限界に挑戦するため1ヶ月先の予測の検証をしています。仮に検証で1ヶ月先の予測が当たっていない部分があっても、たとえば1週間先の予測が外れ続けたという意味ではないことにご注意ください。