図1はJCOPEで計算した5月9日の海面水温です。暖流である黒潮と寒流である親潮の影響のため、その周辺に水温が急激に変化する場所があります(矢印で指しているのが潮境の例)。このような場所は潮境(または潮目)(※1)と呼ばれています。5月1日号や5月8日号で解説したように、潮境は温度だけでなく、生態系が急激に変化する場所でもあります。魚は種類によって、最適な環境があるために、潮境の位置の変化は、漁場の位置に大きな影響を与えます。
現在春漁が行われているカツオを例にとると、漁場は水温変化の激しい潮境に分布する傾向があると報告されており、人工衛星から潮境の位置を見つけることで好漁場を予測するということがしばしばおこなわれています(※2)。例えば、和歌山水産試験場は、漁業者さんからの好漁場の情報と、人工衛星で得られた漁場と同じ水温とクロロフィルの場所を地図上にしめすことで、カツオ漁場探索マップ(※3)を提供しています。
人工衛星データの問題点は、天気が悪い日には雲に隠れて海面の情報が得られないことです。その点、JCOPEのデータは、観測値に基づいた推定により天気の悪い日にも隙間なくデータを提供することができます。JCOPEグループは、この情報を漁業に活用するために、関係各所と協力して、研究を進めています。
※1 Wikipedia 潮境
※2 参考資料:
-
- 三重県水産研究所 スライドショー・ライブラリ 宇宙から海を見る
- 衛星からのデータが人々の生活を支える, NEC
- 人工衛星データと漁船漁場データを用いたカツオ漁場の適水温予測の試み, 原雄一郎・加藤登・ケダーナッシュ・マハパトラ・岡田喜裕, 「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部, Vol.7 No.1, 2009
※3 和歌山県水産試験場・カツオ漁場探索マップ