毎月、過去1カ月の予測を検証する予定です[1]。今回は3月28日号の、3月23日から予測した4月20日までの結果を検証します。

予測と実際

3月28日号では黒潮大蛇行が続くと予測しました。その予測は当たっています。

図1上段は、3月28日から予測した4月20日の黒潮の状態です。図１下段は、観測値を取り入れて実際に近いと考えられる4月20日の状態です。図2は、同じく予測値(上段)と実際(下段)の比較を、3月28日から4月20日までのアニメーションにしたものです。

4月20日の予測(図1上段)は、実際(図1下段)の黒潮大蛇行の特徴である、潮岬が継続して離岸していること、黒潮の最南下点が北緯 32 度より南に位置することを予測できていました。また、八丈島の北を流れる流路を予測しており(図1上段)、実際に八丈島の北を流れています(図1下段)。黒潮の蛇行の行方については、毎週の黒潮予測記事でも、気象衛星「ひまわり8号」が観測する海面水温と比較しながら検証しています。

3月28日号では、四国・室戸岬と足摺岬の離岸と接岸の変化が大きくなってくると予測していました。実際はそれほどでもなく、室戸岬では離岸が続き、足摺岬ではやや離岸にとどまりました

注目していた黒潮蛇行の南西にある時計回り渦の動きは、予測ほど大きくはありませんでした。

予測と実際で、違っていた所と合っていたところは、図2のアニメーションでもご確認ください。

 

図2: 3月23日から4月20日までの予測(上段)と実際(下段)の比較のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。

黒潮大蛇行を作る渦の強さ

大蛇行を作る渦の強さを数値化するために、2014/3/14号「深海から黒潮大蛇行のこれからを予測する」で、深層の冷水面積(水深1000mの水温3℃以下の海域の面積)を渦の強さの指標として導入しました。3月28日号では、大蛇行を作る渦の減少がいったん落ち着くと予測しました。

図3の点線は、3月28日号の予測による冷水面積の変化です冷水面積(大蛇行を作る渦の強さ)は、少し回復した後、横ばいを予測していました。黒線が実際の値の推定値で、大きく回復した後、下降しているので、最終的には予測と同程度になっています。

 

1. ^[1]2017/7/12号「黒潮流路はどれくらい先まで予測できるのか」でも解説しているように、１ヶ月はある程度の精度をもって予測できる限界に近い長さです。毎月の検証では、限界に挑戦するため１ヶ月先の予測の検証をしています。仮に検証で１ヶ月先の予測が当たっていない部分があっても、たとえば１週間先の予測が外れ続けたという意味ではないことにご注意ください。↩