2019年6月12日までの黒潮「短期」予測(5月29日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは6月12日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した5月29日・6月4日・6月11日の黒潮の状態です(1日平均)。

黒潮は東海沖で大きく離岸しており、黒潮大蛇行[1]と呼ばれる状態になっています(A)。黒潮大蛇行の長期的な見通しについては黒潮長期予測をご覧ください。2週間ほどすると黒潮大蛇行が大きく変形するように予測していますが(図3)、今までのJCOPE-T DAの傾向を考慮すると、ゆがみすぎの可能性があります。黒潮長期予測では、短期予測のほどはゆがみは予測していません。大蛇行にともない、紀伊半島・潮岬でも離岸が続きます(B)。

大蛇行の北側では黒潮がS字型に北上しています(G)。現在は東海から関東にかけて(G,E,F)、黒潮が少し離れていますが(図1)、近づくと予測しています(図2,3)。

足摺岬(D)ではいったんやや離岸しますが(図1)、その後、接岸します(図2,3)。室戸岬(C)では離岸が続きます。

九州南東では離岸が大きくなりそうです(H)。

夏にむけて全体的に水温が上昇していきます(図1~3。天気予測データを計算に使っているので程度は変化する可能性があります。)

図4は5月27日午前9時から6月12日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

JCOPE-T DAの予測は土曜日を除く毎日更新されており、最新の予測はJAXAのサイトをご覧ください。図の見方は「JAXAと共同で新しい海洋予測を開始」で解説しています。

  1. 人工衛星「ひまわり」観測とJCOPE-T DAを比較するサイト
  2. JCOPE-T DAの水平分布と深さ(鉛直)方向の分布を可視化するサイト

 

Fig1

図1: 5月29日の予測値(日平均)。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし2019年6月4日の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2019年6月11日の予測値。

 


図4: 2019年5月27日午前9時から6月12日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


  1. [1]黒潮大蛇行の記事のまとめはこちら


JCOPE-T DAは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測研究センター(EORC)と共同で、土曜日を除く毎日更新を行っています(解説参照)。