研究概要
地震発生後の2次被害をもたらす災害として、津波があります。2011年の東日本大震災などでも多くの人命が巨大津波により失われています。広域で巨大なパワーを持つ津波から命を守るためには、事前の想定・評価や、リアルタイムでの警報などの情報が不可欠です。いつ、どのような津波が来襲するかが分かれば、避難後の回避行動がとれるからです。現在、我が国では、気象庁などにより量的予報システムが稼働していますが、迅速で適切な避難行動をとるためにはさらに正確で詳細な情報がいち早く必要になっているのです。
沿岸域での複雑な建物や地形を含めた津波の遡上計算を実施する際には、より詳細で複雑な現象を取り入れる必要がありますが、それだけ計算時間が必要となり、命を守る予報として間に合わなくなります。そこで超大規模データを高速で処理できるHPCI「京」が不可欠となっています。
現在、高密度土地利用データや空間スケールの異なる構造物や道路などを表現するための3次元データを用いて、リアルタイムに津波の発生から伝播、さらには遡上の過程までを解析できるかを検討しています。2011年の東北地方太平洋沖地震による津波の再現や将来予測される南海トラフでの最大クラスの津波の予測を行っています。そこには、今まで我々の知らなかった津波の挙動(3次元流、衝撃力、土砂移動、漂流物)などが見えつつあります。