2018年5月号:今年の夏の天候は?

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写真:梅雨が待ち遠しい紫陽花

春になって暖かい日が続いています。横浜研究所では少しずつ紫陽花が咲き始め、これからやって来る梅雨の恵みを待ち望んでいるようでした(写真)。これから季節は夏に変わりますが、日本を含む世界の天候が気になりますね。

SINTEX-Fの季節予測によると、今年の6月から8月は、世界の多くの地域で気温が平年より高くなる見込みです。一方で、インド、東南アジア、オーストラリア北部、メキシコ、南米北部などでは気温が平年より低くなりそうです。

また、インド、アメリカ西部、南米北部では雨が平年より多く、インドネシア、オーストラリア、中国東部、アメリカ中部、メキシコ南部などでは雨が少なくなる見込みです。

原因の1つとして挙げられる熱帯域の気候変動現象ですが、太平洋ではエルニーニョ現象が、インド洋では 正のインド洋ダイポール現象が発達しそうです。このため、インド洋東部から海洋大陸にかけて対流活動が弱まり、特にインドネシアやオーストラリアでは雨が平年より少なくなる可能性があります。

今年の6月から8月までの気温と降水量は?

図1 2018年6月から8月までに予測される地上気温の平年差(ºC)。 予測開始日は5月1日。

今年の6月から8月までに予測される世界の気温を見てみましょう。SINTEX-Fの予測によると、世界の多くの地域において、気温が平年より高くなる見込みです。一方で、ロシア北部、インド、東南アジア、オーストラリア北部、メキシコ、南米北部では、気温が平年より低くなる見込みです(図1)。

図2 2018年6月から8月までに予測される降水量の平年差(mm/日)。予測開始日は5月1日。

次に、今年の6月から8月までに予測される世界の降水量を見てみましょう。 SINTEX-Fの予測によると、インドや西アフリカ南部、アメリカ西部、南米北部では、雨が平年より多くなる見込みです(図2)。一方で、インドネシア、オーストラリア、中国東部、北朝鮮、韓国、アメリカ中部、メキシコ南部、ヨーロッパの一部の地域では、雨が平年より少ない予測となっています。

また、日本の夏は、気温が平年より高く、雨が多くなりそうです。特に梅雨の6月は、雨が平年より多くなりそうです。ただし、中高緯度の予測精度には限界がありますので、今後の予測情報に注意してください。

図3 2018年6月から8月までに予測される海面水温の平年差(ºC)。予測開始日は5月1日。

日々の天気と異なり、季節を決める気候の変動には海面水温が大きく関わっています(参照:季節予測とは?)。特に、熱帯は他の海域に比べて海面水温が高く、わずかな海面水温の変動が世界の気候に影響をもたらします。

SINTEX-Fの予測によると、今年の6月から8月まで太平洋の熱帯域は、中央部から東部で海面水温が平年に比べて高くなる、エルニーニョ現象が発生する見込みです(図3)。一方、インド洋の熱帯域は、西部で海面水温が平年より高く、東部で水温が低くなる、正のインド洋ダイポール現象 が発生する見込みです。これら2つの現象が同時に発生する年は、過去に1997年や2015年などがあります。

図4 2018年5月以降に予測される、エルニーニョ指数とインド洋ダイポール指数(ºC)。予測開始日は5月1日。青線が観測値、灰線が9つの異なる初期条件で計算した予測値、赤線が9つのグレーの予測値の平均値。

それでは、これら熱帯域の気候変動現象が今後どのように発達していくのでしょうか?そこで、海面水温の変動が最もよく現れる海域で平均した海面水温の平年差を見てみましょう。エルニーニョ指数を見ると(図4上段)、今年の6月から7月にかけて0.5度を上回り、年末に向かって発達し、ピークを迎えた後、少しずつ弱まる予測となっています。エルニーニョ現象の発達は、他の研究機関の予測結果でも見られます(IRI ENSO Forecast)。一方、インド洋ダイポール現象の指数を見ると(図4下段)、6月には0.5度を超えて、夏にかけて発達し、9月にピークを迎えた後、次第に弱まっていく予測となっています。

日本を含む世界の気候には、太平洋に発生するエルニーニョ現象やラニーニャ現象だけでなく、インド洋に発生するインド洋ダイポール現象なども大きく影響を及ぼすことが分かっています。海洋起源の気候変動現象がこれからどのように変動し、世界の気候にどのような影響を与えるか、今後注意してみていきましょう。

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