2020年8月号:今年の秋は?

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写真:夏空に鮮やかに咲く百日紅

8月に入り、猛烈な暑さが続いていますね。横浜研究所の前では、百日紅が夏の暑さに負けず、ピンク色の花を鮮やかに咲かせています(写真)。これから少しずつ季節が秋に変わりますが、日本を含む世界の天候が気になりますね。

SINTEX-Fの季節予測によると、今年の9月から11月は、インドやアフリカ北部、オーストラリア南部を除く、世界の多くの地域で、気温が平年より高くなる見込みです。

また、インドネシアやフィリピンを含む東南アジア、インド、東アフリカ、カナダ西部、ヨーロッパ北部やロシア北部などでは雨が平年より多く、アメリカ中南部、メキシコ、南米の一部、西アフリカ、アフリカ南部、ヨーロッパ西部、極東ロシアや中国南部などでは、雨が少なくなる見込みです。

原因の1つとして、熱帯域の気候変動現象が挙げられます。太平洋では熱帯域の中央部から東部にかけて海面水温が平年より低くなるラニーニャ現象のような状態が続く見込みです。一方で、インド洋では全体で海面水温が平年より高い状況が続く見込みです。

今年の9月から11月までの気温と降水量は?

図1 2020年9月から11月までに予測される地上気温の平年差(ºC)。 予測開始日は8月1日。

今年の9月から11月までに予測される世界の気温を見てみましょう。SINTEX-Fの予測によると、世界の多くの地域において、気温が平年より高くなる見込みです(図1)。一方、インドやアフリカ北部、オーストラリア南部では、気温が平年より低くなる予測となっています。

図2 2020年9月から11月までに予測される降水量の平年差(mm/日)。予測開始日は8月1日。

次に、今年の9月から11月までに予測される世界の降水量を見てみましょう。 SINTEX-Fの予測によると、インドネシアやフィリピンを含む東南アジア、インド、東アフリカ、カナダ西部、ヨーロッパ北部やロシア北部などでは雨が平年より多くなる見込みです(図2)。一方で、アメリカ中南部、メキシコ、南米の一部、西アフリカ、アフリカ南部、ヨーロッパ西部、極東ロシアや中国南部などでは、雨が平年より少ない予測となっています。

また、日本の秋は気温が平年より高く、北海道を除いて雨が多くなりそうです。ただし、中高緯度の予測精度には限界がありますので、今後の予測情報に注意してください。

今年の9月から11月までの海面水温は?

図3 2020年9月から11月までに予測される海面水温の平年差(ºC)。予測開始日は8月1日。

日々の天気と異なり、季節を決める気候の変動には海面水温が大きく関わっています(参照:季節予測とは?)。特に、熱帯は他の海域に比べて海面水温が高く、わずかな海面水温の変動が世界の気候に影響をもたらします。

SINTEX-Fの予測によると、今年の9月から11月までの太平洋の熱帯域は、中央部から東部にかけて海面水温が平年より低くなる、ラニーニャ現象のような状況が続く見込みです(図3)。一方、インド洋の熱帯域は、全体で海面水温が平年より高い状態が続く見込みです。

図4 2020年8月以降に予測される、エルニーニョ指数およびインド洋ダイポール指数(ºC)。予測開始日は8月1日。黒線が観測値、その他のカラーの細線と太線が異なる季節予測システムで計算した予測値とその平均値を表す。

それでは、これら熱帯域の気候変動現象が今後どのように発達、衰退していくのでしょうか?そこで、海面水温の変動が最もよく現れる海域で平均した海面水温の平年差を見てみましょう。熱帯太平洋のエルニーニョ指数(図4上段)を見ると、今年の8月にはマイナス0.5度を下回り、秋にかけてラニーニャ現象のような状態が続く見込みです。その後、冬から来年の春にかけて指数がゼロ付近まで戻り、ラニーニャ現象のような状態が徐々に弱まる予測となっています。このような傾向が、他の研究機関の予測結果でも見られています(IRI ENSO Forecast)。

一方、インド洋の気候変動現象ですが、インド洋ダイポール現象の指数を見ると(図4下段)、今年の8月から秋にかけてゼロ付近まで戻り、東西の水温差は小さくなりますが、インド洋全体が平年より温かい状態(図3)が冬以降も続く見込みです。

日本を含む世界の気候には、太平洋に発生するエルニーニョ・ラニーニャ現象だけでなく、インド洋の海面水温の変動(インド洋ダイポール現象など)も、大きく影響を及ぼすことが分かっています。海洋起源の気候変動現象がこれからどのように変動し、世界の気候にどのような影響を与えるか、今後注意してみていきましょう。

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