最近の水温の状況(2020/6) 豪雨に注意

最近の水温の状況

先月から今月にかけての日本周辺の海面の水温の状況を見てみます。

図1は、今年5月12日と6月5日の海面の水温の平年との差を見たものです[1]。平年より高い場所が赤っぽい色、低い場所では青っぽい色になっています。図2は、同じく5月12日と6月5日の、水深100mの図です。水深100mでも海面と同じ変化が見られれば、水温の平年との差が天気だけでなく海流の影響を受けている可能性が高くなります。5月12日の状況については、「最近の水温の状況(2020/5)」をご覧ください。

海面では全体的に先月より平年より水温が高いところが広がってきました。

黒潮南岸沖では黒潮大蛇行による冷水渦がありますが、海面では目立っていません(図1b A)。海面下では平年より水温がはっきりと冷たくなっています(図2b A)。小蛇行の影響で四国の南岸でも水温が下がっています(黒潮予測参照)。一方で、大蛇行の東側では黒潮が北上して岸に近づくので、関東から東海沿岸では平年より水温が高くなっています(図1,2 B)。

北海道から東北の東方沖で見られる平年より特に高い温度(C)は、海面(図1)だけでなく水深100m(図2)でも見られることから、海流の影響を受けていることがわかります。「記録的な暖水渦(親潮ウォッチ2020/6)」で解説したように、黒潮からの暖水渦の影響です。沖合の親潮の水が入っているところでは平年より冷たい水も見られます(D)。黒潮続流が平年より北に位置しているために、海面でも海面下でも水温が高くなっています。(図1,2 E)。

日本海(F)や東シナ海(G)でも水温が高くなっています。

水温が高いと激しい豪雨につながりやすくなるため、これからの季節は注意が必要です。「豪雨の鍵をにぎる東シナ海」や「hotspot2研究プロジェクトがスタート[2]などの記事を参照してください。

今後の日本周辺の水温については、「季節ウォッチ」も参考にしてください。

Fig1

図1: 海面の温度の平年との差(℃)。[上段]2020年5月12日。[下段] 2020年6月5日。

 

Fig2

図2: 水深100mの水温の平年との差(℃)。[上段]2020年5月12日。[下段] 2020年6月5日。

  1. [1]この記事では、今年の値はJCOPE2Mを使っています。平年の値はJCOPE2M再解析の1993~2018年の平均を使っています。JCOPE2M再解析データは学術研究利用では無償で公開しています。
  2. [2]筆者(美山)はhotspot2に研究分担者として参加しています。