最近の水温の状況(2020/7) 大雨の後

最近の水温の状況

先月から今月にかけての日本周辺の海面の水温の状況を見てみます。

図1は、今年6月5日と7月15日の海面の水温の平年との差を見たものです[1]。平年より高い場所が赤っぽい色、低い場所では青っぽい色になっています。図2は、同じく6月5日と7月15日の、水深100mの図です。水深100mでも海面と同じ変化が見られれば、水温の平年との差が天気だけでなく海流の影響を受けている可能性が高くなります。6月5日の状況については、「最近の水温の状況(2020/6) 豪雨に注意」をご覧ください。

残念ながら先月の「最近の水温の状況(2020/6) 豪雨に注意」で恐れていたとおり、西日本から東日本にかけての広い範囲で記録的な大雨となってしまいました[2]。雨が長期間続いて日照が少なかったため、西日本を中心に平年より海面水温が低くなっています(図1, G)。

黒潮南岸沖では黒潮大蛇行による冷水渦があり冷たくなっています(図1,2 A)。小蛇行の影響で四国の南岸でも水温が下がっています(黒潮予測参照)。一方で、大蛇行の東側では黒潮が北上して岸に近づくので、関東から東海沿岸では平年より水温が高くなっています(図1,2 B)。

北海道南東で平年より高くなっている水温は(C)は、「暖水渦の影響弱まる? (親潮ウォッチ2020/7)」で解説したように、特に水深100m(図2)で先月よりはっきりしなくなっています。沖合の親潮の水が入っているところでは平年より冷たい水が見られます(D)。黒潮続流が平年より北に位置しているために、海面でも海面下でも水温が高くなっています。(図1,2 E)。

日本海(F)では、日照減で海面では日本海南部では平年より水温が低くなっていますが(図1)、海面下では平年より高い水温が続いています(図2)。

今後の日本周辺の水温については、「季節ウォッチ」も参考にしてください。

Fig1

図1: 海面の温度の平年との差(℃)。[上段]2020年6月5日。[下段] 2020年7月15日。

 

Fig2

図2: 水深100mの水温の平年との差(℃)。[上段]2020年6月5日。[下段] 2020年7月15日。

 

  1. [1]この記事では、今年の値はJCOPE2Mを使っています。平年の値はJCOPE2M再解析の1993~2018年の平均を使っています。JCOPE2M再解析データは学術研究利用では無償で公開しています。
  2. [2]「令和2年7月豪雨」の観測記録について~降水量の総和と50mm以上の発生回数の記録を更新しました~」(気象庁, 2020年7月15日)