2021年1月22日までの黒潮「短期」予測 (2021年1月13日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは1月22日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2021年1月13日・1月17日・1月21日の黒潮の状態です(1日平均)。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。詳しくは「海洋速報」黒潮流軸とモデル予測の比較の解説をご覧ください。

黒潮大蛇行[1]から渦が大きくちぎれ、いったん大蛇行が終わったと言える状況でしたが、小蛇行(G)が東に移動するにつれて、再び離岸しています(図1)。大蛇行が再開していると言える状況です(長期予測も参照)。

黒潮は八丈島に近づいています[2](図1, F)。今後は八丈島の北を通る流路に戻ると予測しています(図2~3)。Eの部分は暖水渦としてちぎれています(図1~3)。

四国の室戸岬(C)と足摺岬(D)では黒潮の本流は大きく離岸しています。分岐した暖水が南から室戸岬と足摺岬に近づくでしょう(図1~3)。

図4は1月12日午前9時から1月22日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

JCOPE-T DAの予測は毎日更新されており、最新の予測はJAXAのサイトをご覧ください。図の見方は「JAXAと共同で新しい海洋予測を開始」で解説しています。

  1. 人工衛星「ひまわり」観測とJCOPE-T DAを比較するサイト
  2. JCOPE-T DAの水平分布と深さ(鉛直)方向の分布を可視化するサイト
Fig1

図1: 2021年1月13日の予測値(日平均)。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし2021年1月17日の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2021年1月21日の予測値。

 


図4: 2021年1月12日午前9時から1月22日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


  1. [1]黒潮大蛇行の記事のまとめはちら
  2. [2]東京大学大気海洋研究所の「潮位データを用いた黒潮モニタリング」のグラフで見ると、八丈島の潮位が下がっており、黒潮が八丈島に近づいていることを示唆しています。八丈島の潮位については、「黒潮が八丈島の南を流れているのをどうやって観測で確認するの?」で解説しています。八丈島の潮位の持つ意味は、解説「黒潮大蛇行が終わる時: 2005年の場合」でもとりあげています


JCOPE-T DAは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測研究センター(EORC)と共同で、土曜日を除く毎日更新を行っています(解説参照)。