オオミズナギドリと内航貨物船がとらえた津軽暖流の渦

海洋研究開発機構アプリケーションラボ海洋・大気環境変動予測応用グループ(海流予測モデルJCOPEを開発しているグループ)の宮澤泰正グループリーダーら(※1)は、今までの海洋データと異なる種類のデータであるオオミズナギドリの位置情報内航貨物船の航行記録を活用することによって、海流予測の精度が向上するという論文を発表しました。

論文名 Assimilation of the seabird and ship drift data in the north-eastern sea of Japan into an operational ocean nowcast/forecast system
掲載誌 Scientific Reports
著者名 宮澤 泰正、郭 新宇、Sergey M. Varlamov、美山 透、依田 憲、佐藤 克文、加納 敏幸、佐藤 圭二
プレスリリース(日本語) オオミズナギドリと内航貨物船がとらえた津軽暖流の渦 ~新たな観測手法がひらく海流予測の新展開~

 

オオミズナギドリは海の上で休息している時に、海流によって流されます(図1)。したがってオオミズナギドリに装着したGPSで位置を追跡することで、海流の向きと強さを推定することができます。

Fig1

図1: オオミズナギドリの位置から海流速度を求める概念図。側面から見た図。

 

また、貨物船の航行記録からは、実際に進んでいる速度(対地速度)と海に対して進んでいるはずの速度(対水速度)との差から、海流の速度(偏流)を得ることができます(図2)

Fig2

図2: 貨物船航行記録がら海流速度(偏流)を求める概念図。位置関係を上空から見た図。

 

論文では、これらの新しいデータが、海流予測に必要な海流観測の解像度を劇的に改善する可能性があることが示唆されました。逆に、海流予測の精度が向上すれば、海洋生物の環境や、貨物船の効率的な運航ルートの情報を提供できるようになり、観測を維持する動機付けが働き、持続可能な高密度の海流観測網の出現が期待されます。

詳しくはプレスリリースの解説を御覧下さい。

関連解説
2015/10/02号「津軽海峡東部海洋レーダーデータサイト「MORSETS」が公開」で津軽暖流について解説しています。


※1 この記事の筆者(美山)も共著者として参加しています。

oyasake


美山 透

海の変化は、漁業海運エネルギー天候など様々なことに影響します。海洋予測がもっと身近なものになるように、頭をしぼって書いています。