2015/11/28から2016/2/4の予測(12/4発表)

現在、黒潮は八丈島と三宅島の間を流れています(接岸流路)。房総半島先端に黒潮が近づいています。和歌山・潮岬で黒潮はやや離岸しています。
黒潮が八丈島の南を流れる離岸流路が再び発達すると予測しています。1月に小蛇行が発達し、下流に移動する可能性があります。

現状

図1と図2はJCOPE2で計算した11月28日と12月4日の黒潮の状態です。接岸傾向g(※1)が伊豆諸島を通過中のため、黒潮が八丈島の北を通り(図1,2)、接岸流路になっています。離岸傾向hの伊豆諸島接近により、黒潮が八丈島に近づいています(図2)。

黒潮は、房総半島先端に近づき(接岸傾向g)、その後、沖に離れて(離岸傾向f)います(図2)。

四国から紀伊半島にかけては、接岸傾向kの下流への移動とともに、潮岬でやや離岸しています(図2)。

※1 接岸と離岸の傾向を上流から一連のアルファベットf,g,h,k,,,で図示しています。赤字g,k,,,が接岸傾向で、青字f,h,,,が離岸傾向です。黒潮上に接岸・離岸傾向は交互にあらわれており、黒潮が波うっている様子をあらわしています。接岸・離岸傾向は黒潮の流れで下流に流されます。アルファベットは図1から図3まで共通(前号とも共通)で、同じアルファベット、例えば接岸傾向gが、上流から下流に移動していることをしめしています。

Fig1

図1: 11月28日の推測値。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面高度(メートル)。海面高度が低いところは海面水温が低いおおまかな関係があります。

 

Fig2

図2: 12月4日の予測値。離岸傾向lは存在がはっきりしなくなっています。

 

 

予測

図3と図4は12月13日と来年2月4日の予測です。

接岸傾向gが通過したあと、離岸傾向hの接近と発達により、黒潮は、離岸流路が再び発達し、八丈島の南を流れるようになると予測しています(図3,4)。11月13日号解説および11月27日号検証を参照してください。接岸傾向gの下流への移動とともに、黒潮は伊豆諸島沿いにS字型をカーブ(8月14日解説で同様の流路を解説)を描きながら北上し、東海沿岸では東から西へ暖水が入りやすくなりそうです(図3)。

12月中は、九州東岸から紀伊半島までは接岸・離岸の変動が少なく、黒潮は岸近くを流れそうです(図3)。

来年1月には、接岸・離岸の変動が再び大きくなり、小蛇行が発達して黒潮下流に移動する可能性があります(図4)。

図5は11月28日から来年2月4日までの予測をアニメーションにしたものです。

Fig3

図3: 12月13日の予測値。離岸傾向l接岸傾向mは存在がはっきりしなくなっています。

 

図4: 2016年2月4日の予測値。離岸・接岸傾向の波が小さくなり、図3から図4への移動の追跡が難しいため、離岸・接岸記号は略。


図5: 11月28日から2016年2月4日までの予測のアニメーション。クリックして操作して下さい。途中で停止することもできます。

 


JCOPEの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照下さい。図の見方は2015年11月20日号で解説しています。
より専門的な分析に関しては Kuroshio/Oyashio Watch(英語)をご覧下さい。