宿毛湾の海を活かしたまちづくりレポート2

〜大月町柏島での貨物船の座礁〜

3月15日夕方、高知県幡多郡大月町柏島の西岸で貨物船が座礁している、というニュースが入りました(図1)。連絡をくださったのは、柏島で海の環境保全活動をされている黒潮実感センター長の神田優さん。柏島は、高知県の最西南端に位置する島で、まぐろなどの養殖業のほか、ダイビングや釣りなど観光業が盛んです。

神田さんの話によると、船が座礁したのは13日夜で、重油の流出は見られないが、積み荷の石灰石が流れ出たとのこと。大月町役場に今後の潮流に関する予測情報を提供してほしい、と依頼があり、私たちJCOPEチームはすぐさま対応にあたりました。

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図1(左)貨物船の座礁、写真は宿毛市立田昌敬氏提供(右)座礁した場所、赤矢印が柏島

図2が実際に提供した予測図を柏島周辺に拡大したものです。カラーの矢印が潮流、黒の矢羽根が風向を表しており、潮流は200mごとに計算されています。船が座礁した翌日の3月14日午前10時から、1時間ごとに最大48時間先までの予測情報を提供しました。3月14日の柏島の周辺は、北からの風が吹いており、潮流は弱く、島を取り囲むように流れていたことが分かります(図2)。

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図2(左)高知県宿毛湾と(右)柏島周辺における、3月14日午前10時の潮流と風向の予測値。赤丸が柏島

しかし、状況が一転して、3月15日は潮流が強くなり、柏島と沖にある島を抜けるように、北西に向かって流れるようになりました(図3)。この傾向は3月16日まで続き、島を取り囲むように、潮流が強くなっていました。一方、貨物船の重油の除去作業が終わった3月17日は、潮流は南東に向かって流れるようになり、風向きも北西に向かって、潮流と逆向きに吹くようになりました。

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図3(左)3月15日午前10時と(右)3月17日午前10時の潮流と風向の予測値。赤丸が柏島

今回、これらの予測情報を現場の観測データで検証することは難しいですが、貨物船から重油の流出が確認されず、大事に至らなくて本当に良かったです。これまで私たちが参加してきた宿毛湾の沿岸域総合管理研究会を通して、宿毛湾を利用する関係者とつながりがあったからこそ、迅速に予測情報を提供することができました。今後もこのような活動を通して、宿毛湾の海を活かしたまちづくり(参考:前回のレポート1)に貢献していきたいと考えています。


森岡 優志

海で育ち、海が好きで、海の研究をしています。

グローバルな気候変動とローカルな海の変動をつなぐ、
”グローカル”な研究を通して、社会に役立つ情報を提供します。

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