親潮域の平年より高い水温が続いていることを2016/2/19号で報告して2ヶ月過ぎました。その後どうなったか見てみましょう。
図1は、3月9日(上段)と4月9日(下段)の水温が平年(1993から2012年の20年平均)より高いか(赤っぽい色)、低いか(青っぽい色)、をJCOPE2のデータを用いて見たものです。親潮域の高温(図矢印でしめした箇所)は引き続き見られます。
親潮域の高水温は、海流の状態を反映しています。図2aは、2016年4月9日の100メートルでの水温と流速です。平年(図2b)と比較すると、沿岸で親潮が南下しておらず、温度がその分高くなっていることがわかります。
9月4日号で 紹介した、親潮の勢力の指標である親潮の面積(図2の点線領域での水深100メートルの水温5度以下の水の広がり)で見ると(図3の赤線)、例年通り1月から増加しているものの、その値はまだ平年(図4の黒細線)のはるか下、通常の範囲(灰色の範囲)を超えてさらに小さい面積になっています。親潮面積が小さいということは、冷たい水(5度以下)の範囲が狭い、すなわち、親潮域があたたかいことを意味します。
1月まで親潮面積の月間平均は過去最少でしたが(2016/2/19号の図5)、2月は、2000年に次いで2016年が過去2番めに小さい年でした(図4)。3月は、再び2000年を抜き、2016年が過去最少でした(図5)。参考までに図2cには、2000年4月9日の親潮の様子も比較のためにしめしました。
黒潮親潮ウォッチでは、親潮の現状について月に一回程度お知らせします。親潮に関する解説一覧はこちらです。 JCOPE-T-DAによる短期予測はJAXAのサイトで見ることができます。 4日毎に更新されるJCOPE2Mによる親潮の長期解析・予測図はJCOPE のweb pageで見られます。親潮関係の図の見方は2017年1月18日号と2017年2月1日号で解説しています。