2022年の黒潮をアニメーションで振り返る

この記事では昨年2022年の黒潮の変化を3つのアニメーションで振り返ります。

流れと海面水位

1つめの動画は、黒潮長期予測でおなじみの図を、1年間まとめたものです。

2022年は1年中黒潮が大蛇行していました。2月に大蛇行から渦がちぎれましたが、黒潮の大蛇行は続きました。紀伊半島だけではなく、四国からも離岸する期間が多かったのも今年の特徴です。


アニメーション1: 2022年1月1日から12月31日までの黒潮のアニメーション。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面高度(メートル)。が八丈島の位置。黒太線は海面水位0.3mの等値線で、黒潮の流軸の指標。JCOPE2Mの解析値(観測をとりこんで現実に近いと考えられる推測値)から作成。クリックして操作して下さい。途中で停止することもできます。

水深1000mの水温

2つめの動画は、水深1000mの水温を、1年間まとめたものです。

黒潮長期予測では、東海沖水深1000mの3.3°C以下の冷水の面積を黒潮大蛇行を作る冷水渦の強さの指標として注目しています(「深海から黒潮大蛇行のこれからを予測する」)。JCOPE2Mにアップデートした時に水温の基準を3°Cから3.3°Cに変えています(「長期予測モデルJCOPE2Mをアップデート」)。

図1が黒潮大蛇行が黒潮大蛇行が始まった2017年以降の時間変化です。黒潮大蛇行が始まった2017年夏以降は大きな値が続いています。2022年には冬に渦がちぎれたので値が下がりましたが、夏以降に強さが回復しています。

アニメーション2は、水温1000mの水温がどのように変化したかを見た物です。

Fig1

図1: JCOPE2Mで推定した冷水面積(東海沖水深1000mで水温3.3℃以下の海域の面積)の1日ごとの時系列。黒潮大蛇行を作る冷水渦の強さの指標。単位は104平方キロメートル。

 


アニメーション2: 2022年1月1日から12月31日までの黒潮のアニメーション。カラーは温度(°C)。黒太線は3.3°Cの等温線で、点線の枠線内の3.3°Cより冷たい海域の面積が黒潮大蛇行の渦の強さの指標。が八丈島の位置。JCOPE2Mの解析値(観測をとりこんで現実に近いと考えられる推測値)から作成。

流れと海面温度

3つめの動画は、短期予測用の高解像度予測モデルJCOPE-T DAの海面水温と流れです。JCOPE-T DAは1時間毎のデータがありますが、ここでは1日平均のアニメーションです。

夏は全面的に水温が上昇しており、黒潮と周辺の水温の区別がつきにくいですが、冬が近づいて水温が下がるにつれて、黒潮や黒潮大蛇行による冷水渦がはっきり見えるようになります。


アニメーション3: 2022年1月1日から12月31日までの黒潮のアニメーション。色は海面水温(℃)。黒太線は海面水位0.3mの等値線で、黒潮の流軸の指標。JCOPE-T DAで計算した解析値(観測をとりこんで現実に近いと考えられる推測値)から作成。

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