どうやって室戸岬に黒潮が近づいていると判断しているの?

2015年2月13日号の解説では足摺岬沖の黒潮牧場13号ブイのデータを使用しましたが、今回は室戸岬沖の 黒潮牧場10号のデーターを使用してみましょう。 図1の上段は黒潮牧場10号(位置は図1中段と下段の黒丸)の表層で観測された流れです。2015年1月1日から3月4日までの1日毎の流速の大きさ(矢印の長さ)と流速の向き(矢印の向き)をしめしています。
1月中旬から2月の中旬にかけて、黒潮牧場10号ブイでの流れは弱くなり、しばしば流れが西を向いています。これは、反時計回りの黒潮小蛇行が通過して、黒潮が室戸岬から大きく離れたためです(図1の中段のJCOPEによる2月1日の推定値を参照)。
一方、2月の終わりから3月の初めには、黒潮牧場10号の流れは強くなり、向きは北東を向くようになりました。これにより、黒潮が室戸岬に近づいたと判断できます(図1の下段のJCOPEによる2月28日の推定値を参照)。

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図1: [上段] 黒潮牧場10号(位置は図6中段と下段の黒丸)の表層で観測された、2015年1月1日から3月4日までの1日毎の流速の大きさ(矢印の長さ)と流速の向き(矢印の向き)。流れの大きさの単位はノット。データは高知県漁海況情報システムから入手した。[中段] JCOPE2による2015年2月28日の表層の流れの推測値。色は流れの強さで、赤いほど流れが速いことを表す。単位はノット。[下段] 同じく2月28日の推測値。