JAMSTECが渦について新発見をしたと聞いたけど?

JAMSTECアプリケーションラボ佐々木英治主任研究員らは、1~50㎞規模の小さなスケールの微小な渦や筋状の流れ(サブメソスケール現象)が海洋には存在しており、上の予測の中にも出てきた中規模(メソスケール)渦を活性化させる働きがあることを発見しました。活性化による中規模渦の変化は、海洋生態系や二酸化炭素などの物質循環に大きな影響を与えます。 この研究から、微小な渦は、冬から今ぐらいの季節に発達しやすいことがわかりました。この現象を見るためには非常に細かい現象まで解像する必要があるので、通常海洋予測に使っているJCOPE2(約9kmまで解像)より解像度の高いJCOPE-T(約 3kmまで解像)という予測モデルで、季節変化を見てみましょう。図1の上段は今年の3月7日の海洋の渦の強さを色で表したものです。日本のまわりの海に、多くの微小な渦や筋状の流れの構造ができていることがわかります。一方、半年前の2014年9月7日の流れは、もっとのっぺりしたなめらかな流れです。このように、季節によって海流の構造が劇的に変わることが明らかになったのです。

この現象に興味を持って、さらに知りたくなった方は、
北西太平洋の微小な渦が海洋循環へ与える影響を解明 ~「地球シミュレータ」による高解像度シミュレーションの結果から~ (JAMSTEC プレスリリース)
小さな渦の動きを解明!海の中の熱や物質を運ぶ働きに影響大!(JAMSTECジュニア向け解説)
研究成果:微小な海洋渦が中規模渦などの大きな現象に及ぼす影響(科研費「気候系のHOT SPOT」サイト内解説)

などをご覧下さい。

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図1: 渦の強さを色で表現。赤が時計回りの強い渦。青が反時計回りの強い渦。[上段] JCOPE-Tによる2015年3月7日の推定値。矢印で指しているのが微小な渦の例(他にも多数)。[下段]2014年9月7日の推定値。