2017年6月16日から8月17日の予測(6月21日発表)

黒潮は八丈島の北を流れています。房総半島では東では黒潮が離れていますが、西から近づいています。四国・室戸岬と紀伊半島・潮岬では黒潮が近づいています。小蛇行で九州東岸は離岸しています。東海沖の黒潮の蛇行が発達し、非常に大きくなる可能性があります。

JCOPE2の改良版であるJCOPE2M週2回の予測を行っています。ここでは2017年6月16日から8月17日の予測を解説します。

現状

図1と図2はJCOPE2Mで計算した6月16日と6月21日の黒潮の状態です。

黒潮は、八丈島の北を流れています(図1,2)。

房総半島沖では、冷たい水塊(離岸傾向[1])に阻まれて黒潮が離れている一方(図1,2)、西から黒潮が近づいています(図2, 接岸傾向u)。

小蛇行(小蛇行1)が四国沖から紀伊半島沖を通過し(2017/06/07号解説参照)、東海沖での黒潮の蛇行になっています(図1,2、離岸傾向v)。四国・室戸岬では黒潮が接岸しています(接岸傾向w)。小蛇行通過後の潮岬では離岸が続いていましたが接岸しました。九州東部では、小蛇行の一部が残り(小蛇行2)、離岸が続いています(離岸傾向x)。足摺岬は室戸岬と九州東部の中間で流れが不安定です。

Fig1

図1: 観測値を取り入れて作成した6月16日の推測値。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面高度(メートル)。赤丸()が八丈島の位置。海面高度が低いところは海面水温が低いおおまかな関係があります。

 

fig2

図2: 6月21日の予測値。

 

予測

図3・図4・図5は6月28日・7月5日・8月17日の予測です。

東海沖の(離岸傾向v)蛇行は大きく発達すると予測しています(図3,4)。その後、蛇行は東に移動し、黒潮が八丈島の南を流れそうです(図5)。

室戸岬ではしばらく黒潮の接岸が続くでしょう(図3,4, 接岸傾向w)。足摺岬沖での黒潮は、小蛇行2の動き次第で、しばらく流れの変動が大きそうです。

房総沖での冷たい水塊は当面残りますが(図3,4、離岸傾向r)、東に流されて次第に解消されると思われます(図5)。

図6は、6月16日から8月17日までの予測をアニメーションにしたものです。

Fig3

図3: 6月28日の予測値。

 

Fig4

図4: 7月5日の予測値。

 

Fig5

図5: 8月17日の予測値。接岸・離岸の記号は略。

 


図6
: 2017年6月16日から8月17日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。

「黒潮大蛇行は発生するか?」その後

2017年5月31日付けのAPLコラム「黒潮大蛇行は発生するか?」黒潮大蛇行が発生する可能性を解説しました。この欄ではその後の様子を見ていきます。

注目ポイントは、1.蛇行が本当に大きくなるか?2.蛇行が伊豆諸島の西にとどまるか?、の2つです。

まず、蛇行の大きさですが、「ひまわり8号」で観測された海面水温[2]を見ると(温度の高い帯が黒潮)、先週の6月15日よりも6月19日のほうが蛇行が南下して水温が低い部分が広がっています(図中の青矢印)。北緯32度(赤点線)まで南下すると、蛇行が大きいという目安になります[3]。「ひまわり」の画像には、蛇行の成長を助けると考えられる時計回りの渦の様子もとらえられています。蛇行が大きく発達するという予測は、最新の予測(図3,4)でも続いています。

次に、蛇行が伊豆諸島の西にとどまるかですが、7月上旬までは今までの予測と同じく、伊豆諸島の西で蛇行が発達すると予測しています(図3,4)。ただし、最新の予測では、その後、蛇行は東に移動し、伊豆諸島をまたぐようになり、黒潮は八丈島の南を流れるようになるとしています(図5)。こうなると典型的な黒潮大蛇行ではなく(黒潮大蛇行であった2014年との比較は今週の解説でしています)、大きな蛇行は短命に終わる可能性が高まります。短命とはいっても2013年[4]のように蛇行が大きいまま何ヶ月も続く場合があります。予測は状況によってまた変わってくるので、引き続き注意深く見ていきます。

Fig7

図7:6月15日と6月19日に「ひまわり8号」で観測された海面水温。は八丈島の位置。白くなっているところは雲がかかって観測できなかった所。

  1. [1]接岸と離岸の傾向を上流から一連のアルファベットで図示しています。赤字u,w,,が接岸傾向で、青字r,v,,が離岸傾向です。黒潮上に接岸・離岸傾向は交互にあらわれており、黒潮が波うっている様子をあらわしています。接岸・離岸傾向は黒潮の流れで下流に流されます。アルファベットは図1から図4まで共通で(前号とも共通ですが、あらためて記号を振り直したところもあります)、同じアルファベット、例えば接岸傾向uが、上流から下流に位置が動いていることをしめしています。
  2. [2]ひまわり8号」の海面水温については、2015/10/9号・気象衛星「ひまわり8号」で見た黒潮を参照。JAXA提供の「ひまわり8号」海面水温データは、2016年8月31日からバージョン1.2にバージョンアップしています。鹿児島県水産技術開発センター和歌山水産試験場からも「ひまわり」の画像が公開されています。過去の「ひまわり8号」の水温データを使った解説一覧はこちら
  3. [3]海上保安庁の用語では、黒潮が東経136度以東で北緯32度以南まで蛇行して、その後八丈島の北を通過すると典型的大蛇行流路(A型)になります。http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KANKYO/KAIYO/qboc/exp/yougo.html 
  4. [4]2013年の大きな蛇行はシラスの不漁との関係が指摘されています。


JCOPE2Mは週2回の更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。