2017年の黒潮をアニメーションで振り返る

今回は昨年2017年の黒潮の変化を3つのアニメーションで振り返ります。

流速と海面高度

1つめの動画は、黒潮予測でおなじみの図を、1年間まとめたものです。

2017年の黒潮の大きな変化は、8月下旬ごろから黒潮は大蛇行[1]と呼ばれる流路になったことです。黒潮大蛇行になる経緯は「黒潮大蛇行2017の発生を振り返る」で解説しています。黒潮大蛇行は今年になっても続いています。


図1: 2017年1月1日から12月31日までの黒潮のアニメーション。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面高度(メートル)。が八丈島の位置。JCOPE2Mで計算した海面高度(色)と海面流速の解析値(観測をとりこんで現実に近いと考えられる推測値)から作成。クリックして操作して下さい。途中で停止することもできます。

海面水温(「ひまわり8号」の観測と共に)

2つめの動画では、すこし黒潮大蛇行の領域を拡大し、海面水温の変化を見ています。JCOPE2Mで計算した海面水温(図下段)と同時に、気象衛星「ひまわり8号」で観測した海面水温[2](図上段)も図にしています。黒潮の流路によってダイナミックに変化する海面水温の変化の様子をご覧ください。

JCOPE2M(図下段)のデータは、「ひまわり8号」のデータを取り入れて計算しているので、海面温度の様子をおおよそ再現できています。ただし、JCOPE2Mの分解能の問題で、細かいところでは違っているところもあります。この点に関しては、現在分解能が高い新しいモデルを公開に向けて開発していますのでご期待ください。

一方で、JCOPE2Mの強みは、雲によって「ひまわり8号」が観測出来ないときもデータがあることです。また、「ひまわり8号」では観測できない、流速の計算も行っています。


図2: 2017年の黒潮流域のアニメーション。上図がひまわり8号の観測から作成された海面水温。下図はJCOPE2Mの解析値から(1日平均)。下図にはJCOPE2Mの流速も矢印でしめしている。

2018/6/15追記:
2018/5/25放送・テレビ愛知・ゆうがたサテライト「金スペ・愛知特産の○○がピンチ!」で図2の動画の一部が使用されました。
愛知特産のタコの不漁に黒潮大蛇行が影響しているという内容で、使用された図はありませんが番組内容は番組サイトで見ることができます。

前回の大蛇行2004年との比較

3つめの動画では、領域を広くとり、前回の大蛇行が発達した2004年と比較しています。上段が2004年で下段が2017年です。水深200mの水深と温度で比較しています。水深200mは海面のように日々の天気の影響を受けにくいので黒潮の様子を見るのに良く使われています(参照: 「JCOPE2解析・予測画像の見方(5) 黒潮域の水深200メートルの海水温と流れ」)。

2004年と2017年の比較は「2004年の黒潮大蛇行と今年(2017年)の比較」で解説しています。2017年は黒潮大蛇行になる以前に伊豆諸島付近で黒潮流路が大きく変化していましたが、2004年は黒潮大蛇行になる以前は黒潮が本州近くを流れていたという違いがあります。


図3: 2004年と2017年の黒潮大蛇行発達の比較。1月1日から12月31日まで。矢印は深さ200mの流れ(メートル毎秒)、色は深さ200mの水温(℃)。

 

  1. [1]黒潮大蛇行の記事のまとめはこちら。
  2. [2]「ひまわり8号」の海面水温はJAXA提供のデータです。2015/10/9号・気象衛星「ひまわり8号」で見た黒潮を参照してください。鹿児島県水産技術開発センター和歌山県水産試験場三重県水産研究所からも「ひまわり」の画像が公開されています。過去の「ひまわり8号」の水温データを使った解説一覧はこちら

 


美山 透

海の変化は、漁業海運エネルギー天候など様々なことに影響します。海洋予測がもっと身近なものになるように、頭をしぼって書いています。