黒潮大蛇行の1年を振り返る(2018年8月まで)

2017年8月末に黒潮大蛇行が始まって1年たちました[1]。今回は黒潮大蛇行の1年を、2つのアニメーションで振り返ります。

流速と海面高度

1つめの動画は、黒潮予測でおなじみの図を、黒潮大蛇行が始まる前の昨年7月1日から今年8月30日まで、まとめたものです。

黒潮大蛇行になる経緯は「黒潮大蛇行2017の発生を振り返る」で解説しています。昨年8月末に黒潮大蛇行になった後は、八丈島の南を通る流路に時々変化する他は、黒潮大蛇行の特徴である大きな蛇行と潮岬での離岸を保ち、黒潮大蛇行は現時点でまだ続いています。


図1: 2017年7月1日から2018年8月30日までの黒潮の動き。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面高度(メートル, 相対値)。赤丸()が八丈島の位置。海面高度が低いところは海面水温が低いおおまかな関係があります。JCOPE2Mで計算した解析値(観測をとりこんで現実に近いと考えられる推測値)から作成。クリックして操作して下さい。途中で停止することもできます。

深層、2004年との比較

大蛇行を作る渦の強さを数値化するために、「深海から黒潮大蛇行のこれからを予測する」で、東海沖の深層の冷水面積(水深1000mの水温3℃以下の海域の面積)を渦の強さの指標として導入しました。

そこで、2つめの動画では、水深1000mの水温の昨年7月1日から今年8月30日までの変化を見てみます(図2上段・左)。

前回の2004~2005年の大蛇行とも比較しています(図2上段・右)。前回の大蛇行は2004年7月に始まり、2005年8月に終了しています[2]

図2の下段は対応する日の冷水面積の値です。値の時間変化の図の★が、対応する日の値になります。赤色が2017~2018年大蛇行の値で、青色が2004~2005年大蛇行の値です。冷水面積が広いほど、黒潮大蛇行をつくる冷水渦が強いことを意味します。

動画を見ると、黒潮大蛇行になるにつれて水温3℃以下の領域が広がっていくことがわかります。2004~2005年大蛇行のほうが2017~2018年大蛇行よりも1か月ほど早い時期に始まっているので先に冷水面積が広がりますが、黒潮大蛇行が成長した後は、似たような大きさになります。

2004~2005年大蛇行の場合、2005年の春頃から冷水が東に移動し、伊豆諸島の東に抜けていくことで、冷水面積が縮小していきます。2005年の8月に黒潮大蛇行が終了します。この黒潮大蛇行の終了については「黒潮大蛇行が終わる時: 2005年の場合」で解説しています。

一方、2017~2018年大蛇行の場合は、ときおり少し冷水が東に抜けていくものの、冷水は維持されています。むしろ7月ごろからは冷水面積が回復してきています。今後どのように変化していくか注目して見ていきます。


図2:
[上段] JCOPE2Mで推定した水深1000mの水温分布。左は2017年7月1日から2018年8月30日。右は2004年7月1日から2005年8月30日。赤点線枠は冷水面積の計算に使用。
[下段] 冷水面積(上段の赤点線枠で水温3℃以下の海域の面積)の1日毎の時系列。単位は104平方キロメートル。★は上段の日付に当たる値。赤が2017~2018年大蛇行。青が2004~2005年大蛇行。

黒潮大蛇行の記事のまとめはこちら

 

  1. [1]気象庁は昨年の8月30日に「黒潮が東海沖で大きく離岸」(pdf)という発表をおこなっています。
  2. [2]過去の黒潮大蛇行については、「黒潮大蛇行の歴史」でまとめています。

 


美山 透

海の変化は、漁業海運エネルギー天候など様々なことに影響します。海洋予測がもっと身近なものになるように、頭をしぼって書いています。