2017年10月24日放送のNHK「ニュースウォッチ9」で、黒潮大蛇行と台風21号にによる高潮被害に関する取材に協力しました。
番組名 | ニュースウォッチ9 |
放送日時 | 2017年10月24日(火)21:00~22:00 (報道番組のため放送予定が変更になる場合があります) |
放送局 | NHK総合 |
番組サイト | http://www4.nhk.or.jp/nw9/ |
放送後追記
台風21号による高潮の原因と黒潮大蛇行の関係について、電話インタビューに答えました。
静岡県沿岸では、黒潮大蛇行の影響で潮位が20~30cm上昇していた状況で、強い台風が満潮に近い時間帯に近づいたことが高潮の発生の原因になったと考えられます。
黒潮大蛇行と台風の関係については2017/9/13号「黒潮大蛇行で浸水被害?」で解説しました。
(以下は放送内容とは別の追加解説です。)
図1は、高分解能モデルJCOPE-T-EASによる、台風21号通過前の10月21日における海面の高さ(センチメートル, 色)[1]と海面近くの流れ(矢印線)です。東海沿岸で黒潮は大きく蛇行した後、北上し、伊豆半島に近づいた後、東向きに流れています。一部は、大蛇行による反時計回りの渦の北沿いに静岡県沿岸を東から西に流れています。地球の回転の効果(コリオリ力[2])の影響で、北半球では流れの右側で海面が高く、左側で海面が低くなります。静岡県沖では、東から西に流れているので、流れの右側である沿岸で海面が高くなります。これが黒潮大蛇行の影響です。
2018/8/6追記: 気象庁「気候変動監視レポート2017」のトピックスの中で、12年ぶりの黒潮大蛇行と、その影響としての東海地方における高潮・高波の被害が取りあげられています。
一方、神奈川県沖では、黒潮が西から東に流れているので、流れの左側である沿岸で潮位が相対的に低くなります。そのため、神奈川県での今回の高潮の発生には黒潮蛇行の影響は小さく[3]、台風の影響が満潮時[4]に大きかったことが高潮の発生原因だと見ています。
黒潮大蛇行の記事のまとめはこちら。
これまでの取材協力の一覧はこちら。
- [1]実際の潮位ではなく、相対的な高低です。↩
- [2]遠心力ではありません。↩
- [3]あくまでも今回はということで、黒潮の位置がずれると影響の大きさが変わります。↩
- [4]静岡よりも神奈川のほうが台風の影響が出た時間が、満潮時に近かったとは言えそうです。↩