2018年の親潮をアニメーションで振り返る (親潮ウォッチ2019/1)

親潮の現在

毎日更新されるJCOPE-T DAによる予測はJAXAが提供を開始した可視化サイトで見ることができます。可視化サイトには2種類あります。図の見方は「JAXAと共同で新しい海洋予測を開始」で解説しています。

  1. 人工衛星「ひまわり」観測とJCOPE-T DAを比較するサイト
  2. JCOPE-T DAの水平分布と深さ(鉛直)方向の分布を可視化するサイト

図1は「1. 人工衛星「ひまわり」観測とJCOPE-T DAの比較するサイト」で親潮付近を見たものです。時刻は1月19日9時台(日本時間)の1時間平均で、左が気象衛星「ひまわり8号」による海面水温の観測、右がJCOPE-T-DAによる推定値です。

図1を見ると、沖合に暖水渦A, Bがありますが、それらにはさまたげられずに、渦Cの北側まで冷たい親潮の水が南下しています。

Fig1

図1: 「人工衛星「ひまわり」観測とJCOPE-T DAの比較するサイト」で親潮付近を拡大した図。時刻は1月19日9時台(日本時間)の1時間平均。左が気象衛星「ひまわり8号」による海面水温の観測。灰色でデータが無い場所は雲などで観測できなかった所。右がJCOPE-T-DAによる推定値。

2月4日までの予測

図2は1月19日午前9時から2月4日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

図1の暖水渦A,B, Cに動きは見られるものの、現在の親潮の南下が引き続き見られると予測しています。

図2: 2019年1月19日午前9時から2月4日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。

2018年の親潮をアニメーションで振り返る

今回は昨年2018年の黒潮の変化を3つのアニメーションで振り返ります。

(1) 海面水温と流速 (JCOPE2Mとひまわりの比較)

一つめは(アニメーション1)、海面水温の変化を見ています。JCOPE2Mで計算した海面水温(図左)と同時に、気象衛星「ひまわり8号」[1]で観測した海面水温(図右)も図にしています。

JCOPE2M(左図)のデータは、「ひまわり8号」のデータ(右図)を取り入れて計算しているので、海面温度の様子をおおよそ再現できています。ただし、JCOPE2Mの分解能の問題で、細かいところでは違っているところもあります。新しい高分解能モデルJCOPE-T DAとの比較は、下のアニメーション3で見ています。

JCOPE2Mの強みは、雲によって「ひまわり8号」が観測できない時でもデータがあることです。また、「ひまわり8号」では観測できない、流れの計算(図左の矢印)も行っています。


アニメーション1: 親潮から黒潮続流域の海面水温の2018年1年間の比較のアニメーション。左図はJCOPE2Mの解析値から(1日平均)。右図がひまわり8号の観測から作成された海面水温。目安として水温5°Cに等値線。左図にはJCOPE2Mの流速も矢印でしめしている。クリックして操作して下さい。途中で停止することもできます。

(2) 2018年と2017年の水深100の水温と流れの比較

2つめは(アニメーション2)、天気の影響を受けにくく、海流の状態が見やすい水深100mの水温(色)と流速(流線)の図で、2018年(左)と2017年(右)を比較しながらアニメーションにしています。

図3右の2017年1月31日の渦Aのような大きな暖水渦は2018年には発生しなかったものの、小さい暖水渦はところどころにあり(図3左のB,C,D )、2018年の親潮海域は寒暖の入り混じる年でした。


アニメーション2: 親潮域の水深100mでの2018年(左)と2017年(右)一年間の水温(色)と流れ(矢印付きの線)の比較のアニメーション。親潮域の指標として水温5度に赤細線で等値線をひいてある。2018年、2017年ともJCOPE2Mの解析値から。

 

Fig3

図3: アニメーション2中の1月31日の例。

 

(3) 海面水温と流速 (JCOPE-T DA, JCOPE2Mとひまわりの比較)

3つめは(アニメーション3)、新しい高解像度モデル(左)、「ひまわり8号」の観測(中央)、従来の予測モデルJCOPE2M(右)の海面水温を比較しました。JCOPE-T DAは新しいモデルのため、動画は2018年9月1日からになります。JAXAの人工衛星「ひまわり」観測とJCOPE-T DAの比較するサイトでも、9月1日からの図を見ることができます。

JCOPE-T DAは(左)、JCOPE2M(右)に比べて細かな海面水温の分布がとらえられています。

図4の9月5日の例のように、「ひまわり8号」の観測された海面水温データに不自然な水温上昇が見られる場合があります[2]。そのような場合、従来のモデルであるJCOPE2Mは「ひまわり8号」の海面水温に引きずられてしまいます。新しいJCOPE-T DAでは、他の人工衛星の観測データも参照することで、そのような問題が起こりにくいように設計されています。

アニメーション3: 親潮から黒潮続流域の海面水温の2018年9月1日から12月31日までの比較のアニメーション。左図はJCOPE-T DAの解析値から(1日平均)。中央図がひまわり8号の観測から作成された海面水温。右図はJCOPE2Mの解析値から。目安として水温5°Cに等値線。

 

Fig4

図4: アニメーション3の9月5日の例。

 


黒潮親潮ウォッチでは、親潮の現状について月に一回程度お知らせします。親潮に関する解説一覧はこちらです。 JCOPE-T-DAによる短期予測はJAXAのサイトで見ることができます。 週に2回更新されるJCOPE2Mによる親潮の長期解析・予測図はJCOPE のweb pageで見られます。親潮関係の図の見方は2017年1月18日号2017年2月1日号で解説しています。

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  1. [1]「ひまわり8号」の海面水温はJAXA提供のデータです。「気象衛星「ひまわり8号」で見た親潮2 (親潮ウォッチ2017/03)」の解説参照。過去の「ひまわり8号」の水温データを使った解説一覧はこちら
  2. [2]上空の雲の温度よりも海面水温の温度が低い場合、「ひまわり8号」の観測から作成された海面水温は雲の温度になってしまう場合があることが知られています。