サンマが気になる季節 (親潮ウォッチ2019/8)

まとめ

  • 図1①: 沿岸寄りの親潮の南下は(親潮第一分枝[1])は平年より強いです。今後は平年並みになると予測しています。
  • 図1②: 暖水渦の影響で沖側の親潮の南下(親潮第二分枝[1])は消えています。平年より水温が高く、親潮の影響範囲が大幅に北に後退しています。この状態は続くと予測しています。
図1

図1: 親潮状態の説明図。

 

見通し(長期予測)

海洋予測モデルJCOPE2Mで、約2か月先までの予測を行っています。図2はJCOPE2Mによる水深100メートル[2]での水温(色、℃)と流れ(矢印)です。赤色が黒潮の影響を受けた暖かい水温で、青色が親潮の影響を受けた冷たい水温です。

北海道から東北沖の海は、黒潮続流による暖水や黒潮続流からちぎれた暖水渦(A-F)に影響を受けて水温が高くなっています。

親潮の影響を受けている範囲の指標として、水温5°Cに太い青線を引いています。水温5°C線は東北沿岸近くでは(図2①)、平年(細い青線)より南まで広がっており、沿岸寄りの親潮の南下(親潮第一分枝)が平年よりも強いことをしめしています。

それより東では、水温5°C線(太い青線)が平年(細い青線)より大幅に北に後退しています(図2②)。暖水渦の影響で大きく水温が上昇しているためです。沖側の親潮の南下(親潮第二分枝)は見られません。

図3は図2に対応する2019年8月1日から10月3日までの予測をアニメーションにしたものです。親潮第一分枝は平年並みに近づくと予測しています。平年には親潮第二分枝が存在する海域での親潮の大幅な後退は継続しそうです。

国立研究開発法人 水産研究・教育機構 東北区水産研究所は、サンマに関連する海況を予測しています[3]。それによると、親潮第一分枝の南限はやや南偏~かなり南偏で推移し、親潮第2分枝の南限はかなり北偏~極めて北偏で推移すると予測しています。親潮第二分枝の予測は同じですが、親潮第一分枝の南下は私たちの予測よりもやや強めに予測しているようです。親潮第一分枝が南偏するとサンマの漁場が沿岸近くに形成されることが期待されますが、近年は親潮第二分枝のほうが漁場が形成されやすい傾向があることと、そもそもサンマの資源量が少ないことから、サンマの漁期を通じた来遊量は昨年を下回ると予測されています。

Fig2

図2: JCOPE2Mによる水深100メートルでの水温(色、℃)と流れ(矢印)。赤色が10°Cより高い黒潮の影響を受けた暖かい水温で、青色が5°Cより低い親潮の影響を受けた冷たい水温。親潮の影響を受けている範囲の指標として水温5°Cに太い青線を引いた。細い青線は1993-2015年平均の水温5°C線で平年の親潮の影響範囲。

 

図3: 図2に対応する2019年8月1日から10月3日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。

詳細(短期予測)

より高い水平分解能のモデルJCOPE-T DAで短期予測(約2週間先)も行っっています。毎日更新されるJCOPE-T DAの予測は、JAXAが提供を開始した可視化サイトで見ることができます。図の見方は「JAXAと共同で新しい海洋予測を開始」で解説しています。

図4は「1. 人工衛星「ひまわり」観測とJCOPE-T DAを比較するサイト」で親潮付近を見たものです。時間は8月1日14時台(日本時間)の1時間平均で、左が気象衛星「ひまわり8号」による海面水温の観測、右がJCOPE-T-DAによる推定値です。

東北沖の海は暖水渦(A-F)の影響を受けて海面水温も高くなっています。親潮の影響で冷たくなっている海域は北海道沿岸のみに見られています。

Fig4

図4: 「人工衛星「ひまわり」観測とJCOPE-T DAの比較するサイト」で親潮付近を拡大した図。時刻は8月1日14時台(日本時間)の1時間平均。左が気象衛星「ひまわり8号」による海面水温の観測。灰色でデータが無い場所は雲などで観測できなかった所。右がJCOPE-T-DAによる推定値。

 

図5は8月4日午前9時から8月20日午前9時までの予測のアニメーションです。左が海面、右が水深100mです。右の水深100mの図には、親潮の勢力の範囲の指標として、水温5℃線を水色の線にしています。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

最新の予測は上記JAXAの可視化サイトでご確認ください。


図5: 2019年8月4日午前9時から8月20日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。左が海面、右が水深100m。矢印(ベクトル)が海面の流れの向きと強さ(メートル毎秒)。色が海面水温(℃)。温度の等温線も2℃毎に白色で加えてある。水深100mの右の図には親潮の勢力の指標として水温5℃の等温線も水色で加えている。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


oyashio-mini2

黒潮親潮ウォッチでは、親潮の現状について月に一回程度お知らせします。親潮に関する解説一覧はこちらです。 JCOPE-T-DAによる短期予測はJAXAのサイトで見ることができます。 週に2回更新されるJCOPE2Mによる親潮の長期解析・予測図はJCOPE のweb pageで見られます。親潮関係の図の見方は2017年1月18日号2017年2月1日号で解説しています。


  1. [1]親潮第一分枝・第二分枝については親潮はどんな流路になっているの?で解説しています
  2. [2]天気の影響を受けやすい海面よりも海流の状態を反映していると考えられます。
  3. [3]令和元年度 サンマ長期漁海況予報(道東~常磐海域)(2019年7月31日、水産庁)